日銀、26年度の物価見通し1.9% 展望リポート
日銀は26日、4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表した。今回初めてまとめた2026年度の消費者物価(CPI)の前年度比上昇率は、変動の大きい生鮮食品を除いて1.9%と示した。24年度は2.4%から2.8%、25年度も1.8%から1.9%に引き上げた。
より物価の基調に近いとされる生鮮食品・エネルギー除くベースについては、26年度は前年度比2.1%上昇と2%を超える見通しとした。賃上げや人件費を価格転嫁するといった動きが広がり、政府・日銀が掲げる物価2%目標前後の水準が当面続くと見通した。
見通しは9人の政策委員の中央値を示す。日銀は3月にマイナス金利を含む大規模緩和政策を解除した。「(25年度にかけて)物価安定目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」と説明していた。
24年度は生鮮食品除くベースのCPIでは、原油価格の上昇や政府の電力・ガス支援策の縮小・終了の反動が押し上げに働くとみている。25年度、26年度に向けては賃上げが企業の販売価格の上昇につながり、2%前後の物価上昇が続く。
24年の春季労使交渉についても前向きに評価した。リポートでは「昨年を上回るしっかりとした賃上げが実現する可能性が高い。賃金の上昇を販売価格に反映する動きも強まってきている」と強調した。一方で「中小企業を中心に賃金上昇の価格転嫁は容易ではないとの声も多く聞かれている」との認識も示した。
円安が進む為替相場や資源価格の動向を巡っては「上振れ・下振れ双方の要因となる」と分析した。円安は輸入物価を押し上げ、国内の物価の上昇要因になりうるため、「物価に及ぼす影響を十分注意してみていく必要がある」とした。
政策運営への示唆については、今回展望リポートで示したように基調的な物価上昇率が2%前後に向けて上昇していくとすれば「金融緩和度合いを調整していくことになる」と結論づけている。そのうえで「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」との見解を示した。
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