貿易赤字3年連続、23年度5.8兆円 資源高一服で縮小
財務省が17日発表した2023年度の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5兆8918億円の赤字だった。赤字は3年連続となる。原油など資源価格の高騰が一服したことなどから金額は73.3%減った。
輸出額は前年度比3.7%増の102兆8982億円で過去最高となった。23年通年でも100兆円を超えていたが、年度でも初めて大台に乗った。半導体不足の解消で供給制約が少なくなり、自動車の輸出額が17兆8771億円と30.2%伸びたことなどが押し上げた。
輸入額は10.3%減の108兆7901億円だった。原油や液化天然ガス(LNG)などの輸入額が減った。これら鉱物性燃料の輸入額は26.4%減の26兆55億円となった。原油及び粗油の輸入量が8.6%減るなど、化石燃料は数量ベースでも輸入が減った。
財務省によると23年度の円の対ドル相場は平均で1ドル=143円79銭だった。22年度の135円05銭からさらに円安・ドル高に振れた。ロシアのウクライナ侵略による資源価格の世界的な高騰が一服した影響によって、円安が進む中でも全体の輸入額は3年ぶりに減少に転じた。
地域別に見ると、米国との貿易収支は9兆1356億円の黒字だった。自動車や建設用・鉱山用機械の輸出がけん引して黒字額は37.8%増えた。中国には5兆9287億円の貿易赤字、欧州連合(EU)向けは7219億円の赤字だった。
足元では23年度の平均を上回る154円台まで円安が進んでいる。イランがイスラエルに報復攻撃を加えるなど中東情勢は緊迫の度合いを増しており、今後原油価格に影響してくる可能性もある。貿易赤字が再び膨らむ懸念が残る。
同時に発表した3月の貿易収支は3664億円の黒字だった。黒字は3カ月ぶりとなる。自動車や半導体など電子部品の輸出が伸びた。
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