ヨーカ堂上場検討決議、株一部売却も確認 セブン役員会
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は10日、傘下の総合スーパー(GMS)であるイトーヨーカ堂などのスーパー事業の株式について新規株式公開(IPO)の検討に入ると取締役会で決議したと発表した。2026年2月期までに構造改革で利益体質を改善させた上で一部株式を売却し、スーパーの成長に向けて外部企業との連携模索を検討することも確認した。
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同日、東京都内の本社で取締役会を開いた。「スーパーストア(SST)」と呼ぶスーパー事業については、コンビニエンスストア事業と連携しながら抜本的な改革を進める方針を確認した。その上で、首都圏の食品スーパー事業の26年2月期の黒字転換など再建が見通せる状況に入った場合、早いタイミングでの新規株式公開(IPO)の検討に入る方針とした。
社外取締役で構成する戦略委員会は、この1年間に議論してまとめた会社側への提言をセブン&アイ経営陣に送った。取締役会では同提言も共有され、スーパー事業の再建後にセブン&アイが「一定程度の持ち分」を手放す方向で検討に入ることも確認した。提言を元に議論を行い、基本的に提言内容に沿って戦略を進めていくとしている。
SST事業の一部株式の売却手法については、中間持ち株会社を設立し、ヨーカ堂やグループの食品スーパー、ヨークベニマルなどをぶら下げ、同持ち株会社に外部出資を募る案が有力だ。セブン&アイはヨーカ堂を含む首都圏のスーパー事業を26年2月期までに黒字転換などを達成させる計画で、中間持ち株会社の設立や一部株式の売却などは当面の目標達成が前提となる。
10日、東京都内で決算発表の記者会見を開いたセブン&アイの井阪隆一社長は「食の分野でコンビニとSSTの協業をしっかりやるためには(セブン&アイが)ある程度持ち分を持ちながらも、SSTとしては財務規律を維持し、自分たちの成長投資ができる形態がふさわしい」と、新しいヨーカ堂改革の方向性について狙いを説明した。
セブン&アイのSSTの持ち分比率については「SSTの連結化にはこだわらない。どれくらいの比率を持つのがシナジー(相乗効果)創出に必要か検討している」とした。
ヨーカ堂を巡っては23年2月期まで3期連続の最終赤字となり、米投資ファンドのバリューアクト・キャピタルから23年にスーパー事業(ヨーカ堂)の売却や分離などを求められた。セブン&アイの井阪社長は「世界トップクラスのリテールグループを目指す上でスーパー事業は必要不可欠だ」として、ヨーカ堂の自主再建を決断した経緯がある。
ここ1年でグループの食品スーパー、ヨークと合併し本部機能などを集約した。様々なコスト削減にも取り組んでおり、北海道や東北、信越地方から撤退し、首都圏の旗艦店も複数閉鎖する方針だ。
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