損保大手4社、役員処分132人に 保険料の事前調整問題
損害保険大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)は29日、企業向け保険料を事前調整していた問題で業務改善計画書を金融庁に提出した。役員報酬の減額など処分を受けた役員は4社で計132人と異例の規模になった。計画書に盛り込んだ再発防止策を着実に実行できるかが問われる。
東京海上日動の広瀬伸一社長、三井住友海上の船曳真一郎社長、あいおいニッセイ同和の新納啓介社長は報酬月額の50%を3カ月間減らす。2月1日に就任した損保ジャパンの石川耕治社長は報酬の30%を3カ月にわたって自主的に返上する。
顧客企業との円滑な取引関係を目的に保有する政策保有株式について、三井住友海上とあいおいニッセイ同和は2030年3月末まで、損保ジャパンは31年3月末までに残高をゼロとする目標を盛り込んだ。東京海上日動は「適正な競争を阻害する要因となりうる政策保有株式をなくすことを目指す」としたうえで「具体的な達成時期は今後決定する」とした。
企業向け損害保険の見積もりなどでカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は2023年12月19日、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険の損害保険大手4社などに独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査しました。金融庁も同月26日、4社に業務改善命令を発出。今後は公取委による問題の実態解明や、業界慣行の是正に向けた金融庁の対応などが焦点となります。