米共和党予備選、トランプ氏5連勝 指名獲得近づく
【コロンビア(米サウスカロライナ州)=芦塚智子】米主要メディアは24日、11月の米大統領選に向けた共和党の候補者を選ぶ南部サウスカロライナ州の予備選で、トランプ前大統領が勝利を確実にしたと報じた。対抗馬で同州知事を務めたヘイリー元国連大使の地元を制し、5連勝で党候補の指名獲得に近づいた。
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共和予備選は前大統領が1月の中西部アイオワ党員集会から全勝となった。他候補が次々と撤退し、一騎打ちとなったヘイリー氏は選挙戦を継続する意向を示したが、撤退圧力が一段と強まる可能性がある。
開票率99%時点の得票率は前大統領が59.8%、ヘイリー氏が39.5%となっている。
前大統領は、米東部時間午後7時(日本時間25日午前9時)の投票終了直後に勝利が報じられるとすぐに支持者の前に現れ「期待していた以上の大きな勝利だ」と述べ「共和党が今ほど団結しているのを見たことがない」と強調した。
再選を目指す民主党現職のバイデン大統領に対し「ジョー、おまえはクビだ。出て行け」と攻撃した。
ヘイリー氏は支持者を前に「米国民の多数派がドナルド・トランプもジョー・バイデンも支持していないなかで、私はこの戦いをあきらめることはしない」と選挙戦を続ける考えを改めて示した。
米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した各種世論調査の平均によると、全米での支持率は前大統領が24日時点で75%と17%のヘイリー氏を圧倒する。27日に予備選の次戦を開く中西部ミシガン州でも、前大統領の支持率は67%で、15%のヘイリー氏と大差がついている。
16州・地域が予備選を開く3月5日の「スーパーチューズデー」が大きな山場となる。米メディアによると、前大統領陣営は3月19日までに候補指名を確実にできると予測しているという。
米主要メディアが共同で実施した出口調査によると、前大統領は全ての年齢層で6割以上の支持を得た。ただ回答者の21%を占めた無党派層ではヘイリー氏支持が54%と前大統領の43%を上回った。無党派層への浸透が課題になっている現状が改めて浮き彫りになった。
24日に州都コロンビアの投票所を訪れた大学院生の20代女性は民主党支持者だと明かし「トランプを候補から外すためヘイリー氏に投票した」と答えた。金融機関に勤める無党派の40代男性もヘイリー氏に1票を投じた。「トランプが本選の投票用紙に載るのを防ぎたい」と話す。
出口調査で最も重視する政策を聞いたところ、最多は移民問題の37%で、そのうち82%が前大統領を支持した。2番目の経済を挙げた33%の回答者のうち64%が前大統領に投票した。外交を重視すると答えた人は全体の13%にとどまり、このうち73%がヘイリー氏を支持した。
前大統領を支持する60代男性は「彼なら米国を正しい道へと導いてくれる」と強調した。ロシアによるウクライナ侵攻などを念頭に「トランプが大統領だったら現下のような国際情勢になっていなかった」と話す。
ヘイリー氏はサウスカロライナ州出身で、同州議会議員を経て知事を務めた。しかし同州の現職知事や上院議員らは前大統領支持に回った。
共和予備選は各候補が各州・地域に割り当てられた代議員の獲得を競う。サウスカロライナ州の代議員数は50人。全米で計2429人の総代議員数の過半数を得た候補が7月15〜18日の全国党大会で正式に指名される。
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2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、現職のバイデン大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。