日経平均、取引時間中の最高値上回る 一時3万9000円台
22日の東京株式市場で日経平均株価が反発し、一時3万9000円台をつけた。バブル経済ピークの1989年12月29日に記録した取引時間中ベースの最高値(3万8957円)を上回った。上場企業の稼ぐ力の向上やガバナンス(企業統治)改善、デフレ脱却といった変革の期待が日本株への見直しを誘い、海外投資家のマネー流入が続いている。
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日経平均の前日比の上げ幅は700円を超えた。米半導体大手エヌビディアの好決算を受け、半導体関連銘柄が買われた。年初からけん引役になってきた東京エレクトロン、ソフトバンクグループといった半導体や人工知能(AI)関連株が相場を押し上げた。
日経平均は23年末比で5000円以上上げ、上昇率は17%と米S&P500種株価指数(4%、21日時点)など欧米の主要指数を大きく上回る。東証プライム市場の時価総額は24年に入って約90兆円増えた。
足元で株高が勢いづいたきっかけが企業業績の堅調な伸びだ。2月半ばに一巡した23年4〜12月期決算発表では利益が市場予想を上回る企業が優勢で、自社株買いなどの株主還元策強化を発表した企業にも買いが膨らんだ。
今回の株高の起点になったのが23年春の米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の来日だ。長らく「ジャパン・パッシング(素通り)」を続けてきた海外投資家に日本株投資の再考を促す呼び水となった。海外勢は23年に日本株を3兆1000億円買い越し、24年の買越額も既に2兆円を超す。
日本企業のガバナンス改革も見直しを後押ししてきた。23年3月の東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業への改善要請などを受け、資本効率の改善が進むとの期待が高まった。スイス運用会社UBPインベストメンツのズヘール・カーン氏は「事業ポートフォリオや投資判断が根本的に改善し、増配や自社株買いも進んで株主へのリターンが高まっている」と評価する。
年明けから新たな少額投資非課税制度(NISA)が始まり、個人マネーの流入期待も支えになっている。新NISAでは投資上限枠が拡大するだけでなく非課税期間も恒久化し、若年層など幅広い世代の資金が予想配当利回りが高い銘柄などに向かっている。
日経平均は日本の経済成長に沿いながら上昇し、バブル経済を経て1989年12月に当時の最高値を付けた。バブル崩壊に伴って下げ基調になったあと、2008年のリーマン・ショック後の09年3月にはバブル後の最安値となる7054円を付けた。その後、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」などを追い風に水準を切り上げてきた。
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