ロシア反体制派ナワリヌイ氏、収監先で死亡 当局発表
ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が16日、収監先の刑務所で死亡したとロシア当局が発表した。強権的なプーチン体制が続くロシアで民主化を唱える反政権デモを率い、近年はロシアの獄中からウクライナ侵攻への批判やプーチン政権の不正を訴えていた。
当局の発表によると、ナワリヌイ氏は散歩の後に気分が悪くなり、直後に意識を失ったという。死因は調査中としている。ペスコフ大統領報道官は16日、プーチン大統領にナワリヌイ氏の死亡が報告されたと記者団に述べた。
ナワリヌイ氏は2023年12月、別の刑務所から北極圏の過酷な環境にあるヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に移送されていた。
ナワリヌイ氏は20年8月に一時意識不明の重体となり、欧米がプーチン政権による毒殺未遂疑惑を指摘していた。21年1月に療養先のドイツからロシアに帰国した直後、司法当局により身柄を拘束された。同年4月にはロシア各地でナワリヌイ氏の解放を求める反政権デモが相次ぎ、治安当局が大規模に取り締まる事態となった。
身柄拘束後も獄中からネットを通じたプーチン政権の批判など積極的な情報発信に取り組んできた。22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を巡って、「平和のために戦おう」と侵攻に反対する抗議デモの開催をSNSを通じてロシア国民に呼びかけた。
弁護士のナワリヌイ氏は政権の腐敗を告発するブロガーとして注目を集め、11年ごろから反プーチン運動の中心的な存在となった。17年にはメドベージェフ首相(当時)が賄賂で莫大な財産を得たと主張する内容の映像を公開し、各地で反政権デモが広がった。
ロシア当局はこれまでもナワリヌイ氏を繰り返し逮捕するなど活動に圧力をかけてきた。18年の大統領選では出馬を認めなかった。同氏が率いる汚職追及団体「反汚職基金」は資金洗浄の疑いで銀行口座が凍結されるなどして解散に追い込まれた。
24年3月15〜17日にはロシア大統領選が投票され、プーチン氏の当選が確実視される。プーチン氏は通算5選に向けて無所属で出馬し、与党「統一ロシア」などが支持する。ナワリヌイ氏の陣営は23年12月、プーチン氏以外の候補者に投票するよう呼びかける運動を開始したと発表していた。
中央選挙管理委員会は今月、ウクライナ侵攻に反対するボリス・ナデジディン元下院議員の出馬を認めないと発表した。現在の大統領選の立候補者はプーチン氏を含め4人。侵攻に明確に反対する候補はおらず、政権はプーチン氏の「圧勝」をめざしている。
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