ルネサス、米半導体ソフト開発会社を買収 9000億円
ルネサスエレクトロニクスは15日、米ソフトウエア会社のアルティウムを買収すると発表した。買収金額は91億豪ドル(約9000億円)。同社は半導体に欠かせないプリント配線基板をクラウド上で設計できるソフトを開発、提供している。買収を通じて電子部品の開発スピードを速める狙いがある。
アルティウムが株式を上場しているオーストラリアの会社法の手続きにより、同社の全株式を取得する。買収資金は主要取引銀行からの新たな借入金や手元現金を充てる。規制当局の承認などを得た上で、2024年後半の買収完了を予定している。
技術が高度化するのに伴って、電子機器やシステムの設計と統合は複雑さが増している。現状では部品の選択や評価、動作の検証からプリント基板の設計までのプロセスに多くの技術者が関わり、繰り返しの作業が必要だった。ルネサスはアルティウムの買収でこうした工程をクラウド上でまとめ、短い期間で効率的に提供できる環境を構築する。
ルネサスの柴田英利社長は15日開いた会見で、「このコラボで力をあわせることでエレクトロニクスの設計・デザインを多くの参加者の手に届くものにしていく」と話した。
アルティウムは豪州で1987年に設立し、米カリフォルニア州に本社を置く。プリント基板の設計ツールで高いシェアをもつ。23年6月期の連結売上高は2億6330万米ドル(約396億円)、連結純利益は6630万米ドルだった。
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