GDP年率0.4%減で2期連続マイナス 10〜12月、消費不振
内閣府が15日発表した2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.1%減、年率換算で0.4%減だった。2四半期連続のマイナス成長となった。個人消費と設備投資を中心に内需が軒並み落ち込んだ。
QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率1.0%増で、大きく下回った。前期比年率の寄与度は、内需がマイナス1.1ポイント、外需がプラス0.7ポイントとなり、内需の弱さが目立つ。
GDPの過半を占める個人消費は前期比0.2%減で、3四半期連続のマイナスだった。暖冬の影響で衣料品が振るわず、新型コロナウイルス禍からの回復が一服し、外食も落ち込んだ。物価高も響き、アルコール飲料や野菜、ガソリンなどの消費が減った。
消費に次ぐ民間の柱である設備投資も前期比0.1%減で、3四半期連続のマイナスとなった。設備投資は航空機用の発動機部品や通信ネットワークなどに使われるデジタル伝送装置が下押し圧力となった。
企業の設備投資意欲は旺盛だが、人手不足による工場の建設の遅れなど供給面での制約も響いたとみられる。世界的な半導体市場の低迷が底を打ち、半導体製造装置は堅調だった。省力化に向けた受注ソフトウエア投資も伸びた。
民間住宅は前期比1.0%減と2四半期連続のマイナスだった。インフレによる住宅資材の高騰で着工が弱含み、人件費も上昇して出来高に影響が出ているとの見方がある。
民間在庫変動の寄与度はマイナス0.0ポイントだった。
公共投資は前期比0.7%減で、2四半期連続のマイナスとなった。22年度の補正予算による押し上げ効果が一巡したとみられる。政府最終消費支出は医療費の減少などで0.1%減った。2四半期ぶりのマイナスとなる。
輸出は前期比2.6%増で、3四半期連続のプラスだった。とくにサービスの輸出が前期比11.3%伸び、全体を押し上げた。大手製薬会社が新型抗がん剤の開発で提携した米国企業から知的財産関連の使用料を受け取った一時的な要因が大きい。
計算上は輸出に分類するインバウンド(訪日外国人)の日本国内での消費は前期比14.1%増となり、押し上げ要因となった。
輸入は前期比1.7%増で2四半期連続のプラスだった。原油や液化天然ガス(LNG)などの鉱物性燃料の輸入が増えた。輸入はGDPの計算から控除する項目のため、増加は全体を押し下げる。
名目GDPは前期比0.3%増、年率換算で1.2%増と2四半期ぶりのプラスだった。国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.8%上昇し、5四半期連続のプラスとなった。
23年の実質GDPは前年比1.9%増、名目は5.7%増でともに3年連続のプラスだった。暦年ではコロナ禍からの経済回復が緩やかに進んでいる。
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