23年の経常黒字、9割増の20.6兆円 資源高一服で輸入減
財務省が8日発表した2023年の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は20兆6295億円の黒字だった。前年比で92.5%伸びた。資源高の一服で輸入額が減ったことに加えて、自動車などの輸出が好調で貿易赤字が縮小した。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。
23年の貿易収支の赤字額は6兆6290億円で、22年から57.9%縮小した。輸入額が106兆9032億円と6.6%減った。品目別で見ると原粗油が16.1%、石炭は24.7%、液化天然ガス(LNG)は22.6%それぞれ減った。
輸出は1.5%増の100兆2743億円となった。半導体不足の緩和などで自動車の輸出額が32.7%伸びた。建設用・鉱山用機械や船舶などの輸出額も増えた。地域別では北米向けの輸出額が12.5%増だった。
為替相場は23年の平均は1ドル=140.48円で、22年の131.57円と比べると6.8%の円安だった。原油価格は1バレルあたり86ドル74セントと15.3%下がった。円建ては1キロリットルあたり7万6482円と9.7%下がった。
海外からの利子や配当の収入を示す第1次所得収支は0.3%増の34兆5573億円の黒字だった。過去最大を更新した。
資源価格の一服で商社の鉱山などからの受取額が減り、直接投資収益は8.2%減の20兆6033億円の黒字となった。海外での金利上昇で利子の受取額が増えたため、証券投資収益は17.5%増の12兆953億円だった。
サービス収支は3兆2026億円の赤字で、赤字幅は42.1%縮小した。
23年の訪日客数は2506万人で新型コロナウイルス禍前の19年の8割に回復しており、旅行収支の黒字額は3兆4037億円と過去最大を更新した。情報処理や検索エンジンなどの「通信・コンピュータ・情報サービス」の収支は1兆6745億円の赤字だった。
23年12月単月の経常収支は7443億円の黒字だった。22年12月は95億円の黒字だった。貿易収支は1155億円の黒字、第1次所得収支は1兆2624億円の黒字、サービス収支は3833億円の赤字だった。
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