女子マラソン、前田穂南が日本新記録 19年ぶり更新
前田は21キロ過ぎで先頭集団から抜け出し、2時間18分51秒で優勝したウォルケネシュ・エデサ(エチオピア)にはかわされたが、2位を守った。松田瑞生(ダイハツ)が2時間23分7秒で3位だった。
女子マラソンのパリ五輪代表には鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)が内定している。残る1枠に、今大会か3月の名古屋ウィメンズで日本陸連の設定タイム2時間21分41秒を突破した最速の選手が選ばれる。
度胸満点の走り パリ五輪代表へ大きく前進
日本女子で初めて2時間19分の壁を破り、日本記録を19年ぶりに更新した。パリ五輪出場を狙うラストチャンスで会心のレースをみせ、最後の代表3枠目に大きく前進した前田は「今の力はしっかり出し切ることができた。走るのはやっぱり楽しい」と達成感に浸った。
2021年東京五輪は33位と失速して不完全燃焼。失地回復を目指してパリ五輪代表を狙った昨年10月のMGCでは7位に沈んだ。これまでの悔しさを晴らすべく「日本記録を狙う」と臨んだ今大会は「体が動いたら(前へ)いこう」と決めていた。
先頭集団5人による並走が快調なペースで続いていた21キロすぎ、ペースメーカーを抜いて思い切り飛び出した。早い仕掛けで集団との差を広げると、ライバルの松田は付いていけずに後退。31キロすぎ、後ろからただ一人迫ってきたエデサに抜き去られたが、70メートルほどの差で粘り、背中を追い続けてペースを緩めなかった。
大胆なスパートには裏付けがあったという。大会前の1カ月、米国アルバカーキでの高地合宿で、速いペースで長距離を走る練習をみっちり積み、天満屋の武冨監督は「(2時間)20分を切るのはかなりの確率で大丈夫だろうと思っていた」と言い切った。
「歴史を変え、日本の女子マラソンがやっと階段を上り始めた。続く選手がどんどん出てきてほしい」と日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダー。前田は「記録はもっと出したい。記録に挑戦するのと、世界でしっかり勝負していけるよう、もっと力を付けたい。あとは待つのみ」と力をこめる。紆余(うよ)曲折を経た27歳が、周囲に刺激を与える激走で再び五輪切符に近づいた。
(常広文太)
2024年にフランス・パリで開催される夏季オリンピックは、7月26日(金)から8月11日(日)までの日程で実施されます。3週間余りのこの期間中、32競技329種目が行われます。パラリンピックは2024年8月28日(水)~9月8日(日)で実施されます。大会に向け、様々な種目で選考会が始まっています。