ECB、3会合連続で金利据え置き 金融引き締め継続へ
【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は25日の理事会で、政策金利を3会合連続で据え置くと決めた。待遇改善を求めるストライキが相次ぐなど賃上げ圧力は衰えていない。当面もインフレ抑制へ粘り強く金融引き締めを続ける方針を改めて示した。
ECBは主要政策金利を4.5%、銀行が中銀に預ける際の中銀預金金利を4.0%で維持した。2022年7月にマイナス金利政策を解除して以降、累計の利上げ幅は4.5%と過去最速ペースだ。23年10月と12月の会合では利上げを2会合連続で見送っていた。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「インフレ基調は下落傾向が続いている」と指摘。現在の政策金利を維持することで2%の物価安定目標を達成できると判断した。
ECBは当面、金融引き締めを続ける構えだ。年末年始も労働者のストが欧州各国で相次ぎ、物価を左右する賃上げの行方に注目する。1〜3月期の賃金統計が出そろうのは5月になる見込みで、理事会内部では追加の統計データを踏まえてインフレ鈍化を見極めたいとの声が強まっている。
市場の関心は利下げ転換の時期に移るものの、ラガルド氏ら理事会メンバーは早期の利下げ観測を相次ぎ否定している。市場の過度な期待が金利低下を通じて金融引き締めの効果を弱めかねず、当面も利下げ期待にけん制が入る可能性がある。
23年12月のユーロ圏の消費者物価指数は伸び率が前年同月比2.9%と、8カ月ぶりに加速した。価格変動の大きいエネルギーや食品を除いたインフレ基調も峠を越えて鈍化してきたが、賃上げなど人件費に敏感なサービスは4%で高止まりしている。足元では中東情勢の緊迫などで原油価格が上昇し、インフレ再加速への懸念もくすぶる。
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