厚生年金、2年連続増額 24年度は2.7%増の月23万円
厚生労働省は19日、2024年度の公的年金の支給額を23年度に比べて2.7%引き上げると発表した。物価や賃金の伸びを反映し、2年連続の増額となった。年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」も2年連続で発動されるため、増加率は実際の賃金の伸びに比べて0.4ポイント目減りした。
自営業者らが入る国民年金は40年間保険料を納めた満額支給の場合、68歳以下は1750円増の月6万8000円、69歳以上は1758円増の月6万7808円。
厚生年金を受け取る夫婦2人のモデル世帯で6001円増の月23万483円になる。厚生年金のモデル世帯は平均的な収入(賞与を含む月額換算で43万9000円)で40年間働いた夫と専業主婦のケースを指す。
24年度の改定では年金額の伸びを緩やかにするためのマクロ経済スライドが2年連続で適用される。本来の改定率は20〜22年度の名目賃金変動率である3.1%だが、調整分の0.4ポイントだけ低く抑えられる。
現行の年金額改定ルールでは、過去3年度分の名目賃金変動率と前年の物価変動率のうち、67歳以下で年金を新たに受け取る人は賃金変動率を用いる。68歳以上ですでに受給している人は賃金と物価で低いほうを使う。
24年度は賃金が物価の伸びを下回ったため、改定率は一律で賃金の伸びを用いた。
年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年4月に改定する。4月と5月分をまとめて支給する6月から適用する。19日発表の23年の消費者物価指数を受けて、厚労省が24年度の年金額を決めた。
23年度は物価上昇などを受けて3年ぶりにマクロ経済スライドが発動された。このときは年金がマイナス改定だったため適用を見送った21〜22年度の繰り越し分と合わせて、0.6ポイントの目減りとなった。
繰り越しが発生すると、マクロ経済スライドで調整する年度にまとめて金額を抑制される。高齢世帯の家計に与える影響が大きくなる懸念がある。
基礎年金や厚生年金は原則として65歳から受け取ることができる。60歳から繰り上げて受給することも可能だが早めた分だけ年金額は減る。
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