積水ハウス、米住宅会社を買収 7200億円
積水ハウスは18日、米国の住宅会社M.D.C.ホールディングスを約49億ドル(約7200億円)で買収すると発表した。積水ハウスのM&A(合併・買収)では過去最高額となる。日本の住宅市場は人口の減少で縮小傾向にあり、大和ハウス工業なども米国への投資を増やしている。海外での成長に向け、円安下にあっても投資を積み増す日本勢の姿勢が鮮明だ。
米グループ会社のSHレジデンシャルホールディングスを通じて、MDC社の全株式を取得する。米国時間17日に契約を結んだ。買収資金は金融機関からの借り入れでまかない、7月の中間期末までの買収完了を目指す。
MDC社の売上高は2022年12月期で約57億ドル。買収で積水ハウスグループは住宅の引き渡し数(22年度の合算ベース)が年1万5000戸まで拡大し、全米5位に相当する大手の一角となる。積水ハウスは西部や南部を中心に事業を展開してきたが、東部にも広げる。
積水ハウスの仲井嘉浩社長は18日夜に開いたオンラインでの記者会見で「米国での戸建て事業の骨格ができる」と買収の意義を説明した。そのうえで「予想以上に(米国の)住宅需要は旺盛だ」と強調した。
これまで積水ハウスの事業をけん引してきた日本市場は先行きの見通しが厳しい。国土交通省によると注文住宅の23年11月の着工戸数(持ち家)は1万7789戸で、前年同月比17.3%の減少だった。前年比でのマイナスは21年12月から24カ月連続だ。
米国では08年のリーマン・ショック以降に住宅建設が一時減ったものの、人口は増えており、供給不足が続く。住宅ローン金利の急上昇で市場の冷え込みもあったが、足元でローン金利は7%を下回り、受注が回復しつつある。長期的な市場の成長を見込み、積水ハウスだけでなく日本の住宅メーカーが現地で買収による事業拡大を急ぐ。
積水ハウスは17年に米西部の住宅会社を買収し、その後も西部や南部での事業買収を続けてきた。大和ハウス工業や住友林業なども買収を通じて事業エリアを広げている。
これまで日本勢は数百億円規模の買収が多かった。先行する住友林業を抜き日本勢として米国市場で最大手となる見通しだ。