ダイハツ不正、国土交通省が是正命令 企業体質を問題視
ダイハツ工業の品質不正問題で、国土交通省は16日、同社に対して組織体制の抜本的な刷新を求める「是正命令」を出した。道路運送車両法に基づく処分で、一連の不正の背景として同社の企業体質に問題があると判断した。是正命令はエンジンの排出ガス性能でデータ不正があった日野自動車に続いて2例目となる。
斉藤鉄夫国土交通相が16日午後、省内でダイハツの奥平総一郎社長に対して是正命令書を手渡し、1カ月以内に再発防止策を報告するよう求めた。
斉藤国交相は「体質を抜本的に改革しなければ信頼を取り戻せないことを肝に銘じ、二度とこのような不正を行わないよう再発防止に取り組んでほしい」と述べた。奥平社長は「すべてのステークホルダーに心配をかけ、誠におわび申し上げる。(体質の)改善に全力をあげていきたい」と陳謝した。
是正命令は自動車の生産過程で不正をした企業に対する行政処分で、企業体質に問題があると国が判断した場合に適用される。再発防止策の提出と進捗状況の定期報告を求め、命令に違反すれば50万円以下の罰金を科す。2019年の道路運送車両法改正で創設され、排ガスのデータ不正があった日野自に22年9月に初適用した。
国交省は同日、ダイハツが国内で確認した142件の不正のほか、立ち入り検査により試験車両への不適切な加工など、新たに14件の不正行為を確認したと発表した。基準に適合しない可能性がある2車種について、リコール(回収・無償修理)が必要な場合は、速やかに届けるよう指導したことも明らかにした。
ダイハツを巡っては、斉藤国交相が16日の閣議後の記者会見で、特に悪質な不正が確認されたとして「グランマックス」、トヨタ自動車に供給している「タウンエース」、マツダに供給している「ボンゴ」の3車種について量産に必要な認証「型式指定」を取り消すと明らかにした。
指定が取り消されれば日野自動車、豊田自動織機に次いで3例目。再取得するまで事実上、生産ができなくなる。指定取り消しに向け、ダイハツから意見を聞く聴聞を23日に実施する。
ダイハツ工業が車の安全性を確認する試験で不正をしていた問題についての速報やニュース、解説をまとめました。不正は25の試験項目におよび、現在国内で生産・開発中の28車種すべてでみつかりました。親会社のトヨタの動向、国土交通省の対応についても注目があつまります。