「君たちはどう生きるか」にゴールデン・グローブ賞
【ラスベガス=中藤玲】米アカデミー賞の前哨戦と位置づけられる映画賞「第81回ゴールデン・グローブ賞」の各賞が7日に発表され、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」がアニメ映画賞に選ばれた。2007年に同賞が設置されてから、日本作品の受賞は初めて。今後の世界での興行収入の拡大が期待される。
同部門にノミネートされていた新海誠監督の「すずめの戸締まり」と、任天堂と米イルミネーションが共同制作した「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を抑えての受賞となった。「君たちはどう生きるか」の音楽を手掛けた作曲家の久石譲さんも作曲賞にノミネートされていたが、受賞を逃した。
7日夜に米西部カリフォルニア州ビバリーヒルズで発表・授賞式が開かれたが、宮崎氏や同作品関係者のスピーチなどは無かった。
ジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「ジブリ映画がゴールデン・グローブ賞を受賞するのは初めてで、格別な気持ちだ。日本は年明け以降、悲劇的な地震や事故に見舞われてつらい気持ちでいっぱいです。受賞という明るいニュースで少しでも皆さまに笑顔になってもらえたら幸いです」と英語でコメントを出した。
宮崎氏は現在83歳。13年に長編制作からの引退を宣言したが、撤回して7年をかけて作った同作は集大成とされている。実母を亡くして戦争で疎開した少年が主人公で、宮崎氏の自伝的作品の側面もある。海外での評価が高く、北米では23年12月に公開してから最初の週末は興行収入ランキングで首位となり、スタジオジブリ作品としても過去最高だった。
一時は北米約2400の劇場で公開されていたが、24年1月7日時点では910ほどに縮小。今回の受賞を機に、3月のアカデミー賞の発表に向けて再び拡大する可能性がある。
注目が高い作品賞は、原爆開発を主導した米物理学者の伝記映画「オッペンハイマー」がドラマ映画部門を受賞し、監督賞なども含めて最多の5冠となった。広島と長崎への原爆投下は直接的には描写していない。日本でも24年の公開が決まっている。24年から新設した「映画・興行功績賞」はバービー人形の実写映画「バービー」に決まった。
米映画情報サイトのボックス・オフィス・モジョによると、23年に公開した映画の世界の興行収入ランキングは首位がバービー、2位がザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー、3位はオッペンハイマーだった。23年はハリウッドでは俳優や脚本家のストライキが起き、多くの映画が公開延期を余儀なくされた。
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