柿沢未途議員ら逮捕、江東区長選巡る買収容疑 東京地検
東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部は28日、衆院議員で前法務副大臣の柿沢未途容疑者(52)=自民党を離党=と秘書4人を同法違反(買収など)容疑で逮捕した。区長選での票の取りまとめを依頼する趣旨で、柿沢議員が区議らに約200万円を配った疑いがあるとしている。
一連の事件は現職国会議員の逮捕に発展した。
現職国会議員の逮捕は、洋上風力発電事業を巡る汚職事件で9月に逮捕された秋本真利衆院議員=比例南関東、自民党を離党=以来で、1年に2人の逮捕者が出る異例の事態になった。
捜査は資金の趣旨が焦点となる。有料ネット広告に対する公選法違反容疑での立件は初とみられる。
関係者によると、柿沢氏は逮捕後、現金提供について買収の趣旨はなかったと説明。ネット広告は「違法性の認識がなかった」としている。
特捜部は自民党派閥の政治資金規正法違反事件の捜査も並行して進めている。「政治とカネ」の問題が相次ぎ発覚する事態となり、国民から厳しい目が向けられている。
柿沢議員の逮捕容疑は4月の区長選で木村弥生前区長を当選させる目的で選挙運動を呼びかけ、2〜10月に区議らへ計約200万円の現金を提供したほか、60万円の提供を申し込むなどした疑い。
ほかに逮捕したのは柿沢議員の政策秘書の伊藤正樹容疑者(51)、公設第一秘書の柚留木成人容疑者(64)ら。特捜部は柿沢議員が自らの地盤強化を見据え支援を呼びかけたとの見方を強めている。
区長選は自民党系の候補者が対立する保守分裂の構図だった。関係者によると、柿沢議員はこれまでの任意聴取に対し、区長選と同時期に実施した区議選の「陣中見舞い」だったとして違法性がないと主張しているという。
特捜部は木村前区長について、区長選期間中に自身への投票を呼びかける有料インターネット広告を掲載した疑いがあるとして捜査している。柿沢議員は広告の発案をしたとみられる。
柿沢議員は江東区を選挙区とする衆院東京15区選出で現在5期目。2009年の衆院選で初当選した。21年の衆院選後に自民党から追加公認され、23年9月に法務副大臣に就いた。木村前区長の有料ネット広告への関与を認め、10月に辞任した。
特捜部は11月に地元・江東区の事務所のほか、区議らの関係先も捜索していた。今月14日、東京・永田町の衆院第2議員会館にある柿沢議員の事務所などを家宅捜索。柿沢議員は同日、自民党を離党した。
公選法は選挙支援を求める目的で金品を渡すことを買収罪として禁じている。違反した場合は3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処せられる。受け取った側も被買収罪に問われる可能性がある。
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