辺野古移設、国が初の「代執行」 24年1月着工
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は28日、防衛省が申請した地盤改良工事の設計変更を県に代わって承認する「代執行」を実施した。地方自治法に基づき、国が自治体の事務を代執行したのは初めて。防衛省は2024年1月12日にも県が埋め立てを認めていない区域で工事に着手する。
28日午前、東京・霞が関の国交省で、江口大暁水政課長が設計変更申請を承認する書類を防衛省沖縄防衛局の担当者に手渡した。木原稔防衛相は同日、防衛省内で記者団に「普天間基地の全面返還に向けた一つの節目だ」と述べた。「着実に工事を進めることが一日も早い全面返還を実現し、危険性の除去につながる」と強調した。
辺野古移設を巡っては福岡高裁那覇支部が20日の判決で、県に対し25日までに申請を承認するよう求めたが、県は承認しなかった。国交省は26日に代執行を28日に実施する旨の通知を県に送付していた。
沖縄県の玉城デニー知事は27日に高裁判決を不服として、最高裁に上告したと明らかにした。県は最高裁で逆転勝訴しない限り、代執行に基づく工事を止めることはできない。玉城氏は28日、県庁で記者団に「代執行は沖縄県だけの問題ではなく、全国の地方自治体が問題点を総点検しなければならない節目にきている」と述べた。
代執行は国と地方の関係などを定めた地方自治法に基づき、地方自治体に任されている事務を国が代理で行う手続きだ。本来、国が果たすべき事務を地方自治体が代わりに行う「法定受託事務」に適用される。国交省が所管する公有水面埋立法に基づく知事承認も含まれる。