損保の価格調整、576社で不適切契約 金融庁確認
金融庁は26日、損害保険大手による企業向け保険の価格調整問題をめぐり、不適切な保険契約が576社で確認できたと発表した。金融庁が損保各社から聴取した不適切契約を集約した。損保1社から報告があったのは458社、2社以上から報告があったのは118社あった。
576社には自治体なども含む。金融庁関係者は「1社の報告が多い結果となった。(複数社が価格調整に介在していたにもかかわらず)ほかの社が不適切契約として認識していない可能性がある」とみる。引き続き調査を進める考えだ。
金融庁によると、企業向け保険の価格調整は①幹事社としての立場や保険シェアの維持、②他社からの打診、③より有利な条件での契約、④他社より低い保険料を提示することによる他の契約への影響懸念、⑤保険代理店からの打診、が背景にあったという。
金融庁は26日、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社に対して保険業法に基づく業務改善命令を出した。業務改善計画を2月29日までに提出するほか、1月31日までに中間報告を求めた。業務改善計画を完了するまで3カ月ごとの進捗状況の報告も求めた。
企業向け損害保険の見積もりなどでカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は2023年12月19日、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険の損害保険大手4社などに独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査しました。金融庁も同月26日、4社に業務改善命令を発出。今後は公取委による問題の実態解明や、業界慣行の是正に向けた金融庁の対応などが焦点となります。