辺野古埋め立て承認、28日に初の「代執行」 国交相表明
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は26日の閣議後記者会見で、防衛省による地盤改良工事の申請を県に代わって国が承認する「代執行」を28日に実施すると表明した。年明け以降、移設に向けた工事が始まる見通しだ。
福岡高裁那覇支部は20日の判決で、県に対し25日までに申請を承認するよう求めたが、玉城デニー知事は25日に承認しない方針を表明した。国は著しく公益を害することが明らかと判断し、初となる代執行に踏み切る。当初の見通しから10年以上遅れて、止まっていた工事が動き出すことになる。
国交省は26日午前、代執行の事前通知を県に送付した。27日午後に県に届く予定で、国が28日に県に代わって防衛省沖縄防衛局の設計変更申請を承認する旨を記載した。代執行で工事が可能になり、防衛省は2024年1月にも県が埋め立てを認めていない区域で工事に着手する。
代執行は地方自治体の役割や国と地方の関係を定めた地方自治法に基づき、地方自治体に任されている事務を国が代理で行う手続き。本来国が果たすべき事務を地方自治体が代わりに行う「法定受託事務」に適用される。国交省が所管する公有水面埋立法に基づく知事承認も含まれる。
玉城知事は高裁判決について上告する方針も示しているが、最高裁で逆転勝訴しない限り、代執行を止めることはできない。
沖縄県が地盤改良工事の中止と政府との対話を求めていることについて、斉藤国交相は「公有水面埋立法の所管大臣として法律に基づき手続きを進めてきた。(県が対話を求めている)普天間飛行場の代替施設建設事業については、防衛省の所管であり、答えは差し控える」とした。
辺野古の埋め立てを巡っては、国が県に対し承認を迫った「是正指示」の妥当性が法廷で争われた。9月の最高裁判決は「適法」と判断し、県の敗訴が確定。その後も県側が承認しなかったため、国が10月に代執行訴訟を起こした。
辺野古沿岸部の埋め立て海域は辺野古側と大浦湾側に分かれる。辺野古側は18年12月に埋め立てを始め、11月末時点で進捗率は99.5%に達した。大浦湾側は軟弱地盤の存在が判明し、防衛省が改良に必要な設計変更を20年4月に申請したが県が承認せず、工事の中断が続いている。
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