第一生命、ベネワンTOB価格2123円に エムスリーに対抗
第一生命ホールディングス(HD)は21日、福利厚生代行のベネフィット・ワンに対するTOB(株式公開買い付け)価格を2123円にすると発表した。TOBはベネワンと親会社のパソナグループの同意が得られれば、2024年1月中旬から始める。医療情報サイト運営のエムスリーが実施中のTOBは1600円で、500円以上上回るかたちとなる。
第一生命HDは7日に、TOB価格を「1800円以上」とする対抗提案を公表した。パソナがTOBに応じないことを前提に、TOB後にベネワンがパソナの持ち株を自社株買いで買い取ることでパソナが得られる税金の軽減分を第一生命HDが算出した1株あたりの株式価値(1800円)に上乗せした。
ベネワンを巡っては、エムスリーが11月15日から1株1600円でTOBをしている。エムスリーはパソナとTOB応募契約を結んだ上で、TOBの上限を55%としてベネワンを子会社化しつつ上場を維持する方針だ。第一生命HDはTOBに上限を設けず、ベネワンを完全子会社化する計画だ。
第一生命HDが7日に対抗提案を出したことを受け、ベネワンは6日にエムスリーにTOBの延長を要請。エムスリーは12日にTOB期間をもともとの12月13日から24年1月17日まで延長することを決めている。
今後はエムスリーのTOB期限となる24年1月17日までに、ベネワンが第一生命HD案への賛否をどうするか、パソナが第一生命HD案に賛同するか、エムスリーが第一生命HDに対抗して条件を引き上げるかなど、3社の判断が焦点となる。
パソナは21日、「(第一生命HDの)提案内容を引き続き精査する」とした。パソナはエムスリーとTOBへの応募契約を結んでいたが、価格が上回る提案が出てきたことで両社の取り決め上、第一生命HDのTOBに応じることもできる状態となっている。
このままエムスリーのTOBに応募することもできるが、高値での売却機会を逃したとして自社の株主から反発を受けることも想定される。
エムスリーはTOB価格を引き上げるなど、第一生命HDに対抗するかを判断することになる。ベネワン株を最大55%取得するのに必要な約1400億円について、手元資金と900億円を上限とする借り入れで賄う方針だった。第一生命HDに対抗してベネワンを完全子会社化するとなると、さらに資金も必要となる。
ベネワンの株価は11月上旬まで1100円台で推移していたが、争奪戦に発展したことで21日終値は2000円となっている。
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