林芳正官房長官ら4閣僚就任 自民党政調会長は下旬交代
自民党派閥の政治資金問題を受けた閣僚人事で林芳正官房長官ら4人の新閣僚が14日に就任した。経済産業相に斎藤健氏、総務相に松本剛明氏、農相に坂本哲志氏が就いた。辞表を出した萩生田光一政調会長らの後任は2024年度予算案の閣議決定を想定する22日以降に決める。
入れ替わった閣僚のポストはいずれも自民党安倍派(清和政策研究会)が占めていた。同派の副大臣5人と政務官1人も交代した。
安倍派の萩生田氏は岸田文雄首相(党総裁)に辞表を提出した。高木毅国会対策委員長は茂木敏充幹事長に、世耕弘成参院幹事長は関口昌一参院議員会長にそれぞれ辞表を出した。
首相は14日、萩生田氏に24年度予算案の編成に責任を持って取り組むよう指示した。党幹部の後任人事について公明党の山口那津男代表に「22日までは任を続けてもらう」と伝えた。
4閣僚は林官房長官を含めていずれも経験者の再登板となった。新たな疑惑が取り沙汰されるリスクが低く、国会答弁などにたけた人材を重視した。首相は14日夜、記者団に「即戦力を選ばなければならないとの考えに基づいた」と説明した。
林氏は14日夜に首相官邸で記者会見に臨んだ。自身が所属する岸田派の政治資金収支報告書の不記載問題を巡り「私自身はパーティー券収入の還流は受けていない」と語った。「岸田派から私の政治団体への寄付は政治資金規正法にのっとり対応している」と述べた。
安倍派は政治資金パーティー収入の一部を議員に還流し、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いで東京地検特捜部の捜査を受けている。
同派の上野通子首相補佐官と和田義明防衛相補佐官も14日に辞表を提出した。首相は安倍派所属の議員には政治資金処理の点検を優先させて、国民の信頼回復を急ぐ。
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自民党安倍派(清和政策研究会)や二階派(志帥会)が政治資金パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載しなかった疑いがあるとして、東京地検特捜部は政治資金規正法違反容疑で現職国会議員を逮捕しました。両派閥はパーティー券の販売ノルマ超過分を所属議員に還流させており、安倍派における派閥・議員側双方の収支報告書に記載されていない「裏金」は2018〜22年分で約6億円近くに上るとされます。
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