洋上風力発電の事業者、3海域で決まる 秋田はJERAなど
経済産業省は13日、国が指定した秋田・新潟・長崎の3海域で洋上風力発電を担う事業者の公募結果を発表した。秋田は国内発電最大手のJERAなどの企業連合、新潟は三井物産を含む企業連合、長崎は住友商事などの企業連合を選んだ。
公募された海域は再エネ海域利用法で促進区域に指定しており、事業者は最大30年間占有できる。2021年末の初回に続く第2弾の選定となる。
今回、事業者を決めたのは①秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖②新潟県村上市・胎内市沖③長崎県西海市江島沖――の3海域。秋田は2028年6月、新潟は29年6月、長崎は29年8月の運転開始を目指す。
一方、同時に公募していた「秋田県八峰町・能代市沖」の海域では事業者の決定を来年3月に先送りしたと発表した。
経産省によると、同海域で評価点数が最も高かった事業者の連合が利用を想定していた港湾が、同県男鹿市・潟上市・秋田市沖を落札したJERAなどの企業連合が使う場所と重なっていた。
今回の公募では、事業者を選ぶ評価基準が初回に比べて変わった。初回のルールに比べて、稼働時期の早さをより重視する加点方式に改めた。
日本の再エネ普及に洋上風力の早期稼働が欠かせないのが、その理由だ。政府は2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を現状の2倍程度の36~38%に増やす計画を掲げる。四方を海に囲まれた日本は洋上風力の拡大が有力な選択肢となる。
政府は洋上風力に関し、30年に1000万キロワット、40年までに3000万〜4500万キロワット分の発電設備で事業者の決定を目指している。
第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で採択された成果文書にも再エネを30年までに現状の3倍に拡大する方向性も明記され、日本もさらなる普及の加速が求められそうだ。
導入で先行する欧州などでは、足元の金利上昇によるコストの高騰が洋上風力の事業拡大の逆風になっている。日本にとっては事業者がコスト上昇を加味しても、洋上風力への投資を進められる環境の整備が欠かせない。
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