認知症薬「レカネマブ」保険適用、年298万円見込み
中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は13日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を保険適用する薬価(薬の公定価格)を承認した。体重が50キロの人の場合、年間費用は298万円になる見込み。
レカネマブは米国で既に承認されている。年間費用が円換算で390万円程度に上ることから、国内での価格が注目を集めていた。体重によって投与量が変わるため、価格は変わる。
実際の患者の負担額は数万円程度に抑えられる見込みだ。薬価が高額になった際に患者の年齢や所得に応じて自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」が適用されるためだ。
1瓶2ミリリットル(200ミリグラム)は4万5777円、5ミリリットル(500ミリグラム)は11万4443円で保険適用することが決まった。製造経費や臨床試験の経費などをもとに算定した。エーザイは13日、レカネマブを国内で20日に発売すると発表した。同日から保険適用される。
レカネマブの治療は、体重1㌔あたり10ミリグラムを2週間に1回、1時間程かけて点滴する。使用期間は原則1年半となる。
レカネマブの薬価算定にあたっては、エーザイが介護の費用や負担軽減なども考慮するよう求めていた。専門家からも同様の声があったが、介護費用の削減効果は薬価収載時の価格には反映されていない。
レカネマブ(製品名レケンビ)はアルツハイマー病患者の脳内に蓄積する「アミロイドベータ」というたんぱく質を除去するよう設計されたバイオ医薬品だ。脳の出血や腫れなどの副作用が報告されている。
同日、厚労省は投与対象の患者や医師、施設の要件などを定めたガイドラインを示した。レカネマブを初回投与できるのは、アルツハイマー病の病態や経過、副作用のリスクについて十分な知識のある医師だと明記した。
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