柏崎刈羽の対策「問題なし」、運転禁止解除判断へ 規制委
原子力規制委員会は6日に定例会合を開き、事実上の運転禁止命令を出している柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のテロ対策の改善や東京電力ホールディングスの事業者としての適格性を確認した。報告内容に異論は出なかった。禁止命令の解除に向けた条件はほぼそろったことになり、規制委は近く最終判断する。
柏崎刈羽原発でIDカードの不正使用や侵入検知装置の不具合といったトラブルが相次いだため、規制委は2021年4月に事実上の運転禁止命令を出した。テロ対策として改善が必要な27項目のうち4項目の検査や、東電の原発事業者としての適格性の再確認を進めていた。
規制委は6日、テロ対策の不備の是正策に関する検査の報告書案と、適格性に関する内容を確認した。
規制委はこれまでテロ対策を含む27項目を検査してきたが、5月時点で4項目は改善が見られず継続検査となっていた。こうした点も含め是正が進んだとの報告を受け、追加の対応は必要ないと判断した。
適格性についても、保安規定に定めている東電の7つの基本姿勢の実施状況を確認した。福島第1原発の廃炉への主体性や社長の原子力安全への責任といった点について問題ないとの認識を示した。
これらの内容について追加の指示は必要ないことで全委員の考えが一致したため、禁止命令の解除に必要な条件はほぼそろった。山中伸介委員長は正式な解除を判断する前に、委員による現地視察や東電社長との意見交換を実施したうえで、解除するか最終判断する方針を表明した。
規制委が禁止命令を解除すれば、東電は再稼働に向けた最後のプロセスである新潟県への地元説明を進める。再稼働には地元同意が必要だ。新潟県の花角英世知事は原発の再稼働について、県民の意見を聞きながら判断していく考えを示している。
柏崎刈羽原発が再稼働すれば東電の収益底上げや首都圏管内の電力供給の積み増しが期待できるが、具体的な稼働時期はなお見通せない。