セブン&アイ、豪セブンの運営企業を1700億円で買収
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は30日、オーストラリアでコンビニエンスストア「セブンイレブン」ブランドの店舗を運営する「コンビニエンスグループホールディングス(ビクトリア州)」を買収すると発表した。取得額は17.1億豪ドル(約1700億円)になる。豪州では今後も人口増が見込まれる中、子会社化することで出店スピードを速め、新規開発の商品を増やせるようにする。
セブン&アイ傘下で海外展開を担うセブンイレブン・インターナショナルLLCが、コンビニエンスグループHDの全株式を取得する。30日に株式譲渡契約を結んだ。株式の取得は2024年4〜6月を見込む。
現在、コンビニエンスグループHD傘下のセブンイレブンストアーズが、セブンイレブンの店舗を751店(6月末時点)運営している。現地でコンビニ最大手だ。セブンイレブン・インターナショナルLLCと、豪州でセブンイレブンの商標利用権などを持つセブンイレブンストアーズには資本関係がない。今回の買収を通じて、セブンイレブンストアーズをグループ会社にする。
セブン&アイは豪州での出店を拡大する考えだ。豪州は若年層や移民らが多く、豪政府によると60年代半ばまで年平均1%超のペースで人口が増える予測だ。セブンはビクトリア州やクイーンズランド州などで出店余地があるとみており、出店を増やすことでコンビニ事業の売上高を伸ばす考えだ。
商品開発や店舗運営での協業も強める。現在は現地の食文化や好みに応じた商品を展開しているが、今後は日本や北米で培ったセブンイレブンの知見を注入する。北米ではサンドイッチなどの独自商品が人気で、豪州での展開も検討する。店舗運営の効率化も進めて利益を底上げする。
日本のセブンイレブンは10月までの既存店売上高が20カ月連続で前年実績を上回り、好調を維持する。ただ、国内外とも成長力を維持できるかは課題だ。セブン&アイの井阪隆一社長は10月、初めて開いた投資家向け説明会「IRデー」で、「(百貨店子会社だった)そごう・西武の売却が完了した今、北米などのコンビニ事業に一段と注力する」と述べた。
セブン&アイは現在、日本や北米、アジアを中心に20の国・地域でコンビニ8万店を持つ。ただ、直接運営する店舗は米・ハワイや中国・北京などにとどまる。大半は展開するための「ライセンス」を現地企業に供与する形を取っている。ベトナムなど進出済みの国での追加で投資する動きが出ている中、セブン&アイ幹部は「中長期的に豪州のように現地の運営会社に出資する事例が増える可能性がある」と話す。
セブンイレブン・インターナショナルLLCの阿部真治・共同最高経営責任者は、コンビニ事業の海外戦略について「世界地図をみると多くの未進出国がある。依然として成長余地がある」とIRデーで語った。セブンイレブンとして、30年度までに30の国・地域に展開する計画を持つ。海外の有望市場を取り込みつつ、主力のコンビニ事業を伸ばす考えだ。
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