ガザ戦闘休止、再延長1日で合意 イスラエルとハマス
【カイロ=久門武史】イスラエルとイスラム組織ハマスは30日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止をさらに1日延ばすことで合意した。仲介するカタールが発表した。延長は2度目。イスラエルは休止期間の終了後に戦闘を再開する方針を示しており、本格的な停戦はなお見通せない。
両者の合意は戦闘休止の期限が切れる30日朝の直前だった。ハマスがガザで拘束する人質の解放を巡り、交渉が難航したもようだ。イスラエル軍は同日、イスラエル人の人質2人が新たに解放されたと発表した。近く、他の人質も赤十字に引き渡されるとの見通しを示した。
ブリンケン米国務長官は30日にイスラエルを再訪し、ネタニヤフ首相と会談した。米国務省の声明によると、両氏は米国人などの人質解放を実現するための取り組みを協議した。イスラエルとハマスの戦闘休止の継続も議題になったとみられる。
ブリンケン氏はテロから自国を守るイスラエルの権利を改めて支持する一方、民間人への被害を回避するあらゆる手段を講じるよう求めた。ガザ市民への人道支援を加速させる必要性も確認した。同国のテルアビブではヘルツォグ大統領とも会った。
パレスチナ自治政府のアッバス議長とも同自治区ヨルダン川西岸のラマラで会談した。一時休止を通じたガザへの人道支援を加速させる取り組みを話し合った。
エジプト当局は同日、戦闘休止をさらに2日間延長するようカタールとともに働きかけているとの声明を出した。
イスラエルのメディアによると30日朝、エルサレムのバス停でパレスチナ人の男2人が銃を乱射し3人が死亡、6人が負傷した。ハマスは男2人を構成員と認める声明を出した。
戦闘休止は当初4日間で合意し、24日から始まった。この間にハマスが人質50人を解放し、外国人の人質も別枠で引き渡した。イスラエルは収監するパレスチナ人150人を釈放した。28日から休止期間を2日延長し、さらに身柄の交換を進めた。
イスラエル軍によると29日、人質のうちイスラエル人10人、タイ人4人、ロシアとイスラエルの二重国籍の女性2人の計16人が解放された。イスラエルもパレスチナ人30人を新たに釈放した。
6日間でハマスが引き渡した人質は外国籍も含め計97人、イスラエルが釈放したパレスチナ人は計210人となった。
イスラエルは停戦には応じない姿勢を崩していない。ネタニヤフ首相は29日、人質が解放された後に軍が戦闘を再開するかについて「答えは明白なイエスだ」と明言した。イスラエルのメディアは10日間を超える戦闘休止には消極的だと伝えた。
中東の衛星放送局アルジャズィーラは30日、ハマスが戦闘員に対し、戦闘休止が延長されなかった場合に備えるよう指示したと伝えた。
ハマスの軍事部門は29日、人質のイスラエル人3人がイスラエル軍の攻撃で死亡したと主張した。軍は調査中だとした。同国メディアによると3人は、人質の中で最年少とされる生後10カ月と4歳の子どもとその母だという。
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(更新)
パレスチナのイスラム組織ハマスが2023年10月7日、ロケット弾や戦闘員の侵入によってイスラエルへの大規模な攻撃を仕掛け、イスラエルが報復を開始しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。