米OpenAI、アルトマンCEOが退社へ 事実上の解任
【シリコンバレー=中藤玲】生成AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を手掛ける米新興オープンAIは17日、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が退任すると発表した。現在、最高技術責任者(CTO)のミラ・ムラティ氏が暫定CEOに就く。新たなCEOの人選も進める。事実上の解任とみられ、アルトマン氏は退社する。
同社は声明で、アルトマン氏の退任について「取締役会による審議プロセスを経たものだ」と強調。「アルトマン氏は取締役会とのコミュニケーションで一貫して率直ではなく、取締役会の責任を果たす能力に支障をきたしているとの結論に達した。彼が今後もオープンAIを率いていく能力を、取締役会はもはや信頼していない」と説明した。
アルトマン氏は同日、X(旧ツイッター)に「オープンAIで過ごした時間が大好きだった。私個人にとっても、できれば少し世界にとっても、変革をもたらすものだった。次に何が起こるかについては、後ほど詳しく説明する」と投稿した。
ムラティ氏はエンジニアでオープンAIに入社し、CTOとして研究や製品、安全部門を率いてきた。同社は「我々が前進するためには新しいリーダーシップが必要だ。ムラティ氏はオープンAIが世界的なAIリーダーに進化する過程で重要な役割を果たしてきて、暫定CEOに適任だ」とした。
アルトマン氏はスタートアップ支援の米Yコンビネーターで社長を務め、15年に連続起業家のイーロン・マスク氏らと非営利団体としてオープンAIを創設。約1年前の22年11月30日にチャットGPTを公開すると、2カ月で利用者数が1億人を超え、注目の的となった。
23年11月6日には本社がある米サンフランシスコ市で初めて開発者会議を開催。16日にもアジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連イベントに登壇し、将来的なAI規制の必要性などについて語っていた。
米マイクロソフトは早い段階からオープンAIに投資し、業務ソフトやシステムに同社の技術を組み込んでいる。マイクロソフトは17日、日本経済新聞の取材に対し「我々はオープンAIと長期的なパートナーシップを結んでおり、今後もムラティ氏とチームにコミットし続けて次世代のAIを提供していく」とコメントを出した。
同日の米株式市場でマイクロソフト株は前日比約1%安で推移していたが、アルトマン氏退任の発表を受けて下げ幅を広げ、終値は前日比約2%安となった。
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(更新)
2023年11月17日、生成AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIのサム・アルトマンCEOが突如退任しました。一時はマイクロソフトに入ることが決まりましたが、オープンAIの社員らが復帰を求め、21日には復帰が発表されました。