UAゼンセン、賃上げ6%要求へ 2年連続で連合超え
流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンは6日、2024年の春季労使交渉で正社員とパートなどを合わせた全体の賃上げ目標を6%とする方向で調整に入った。連合が10月に発表した「5%以上」とする要求方針の水準を上回る。伸び率の連合超えは2年連続だ。長引く物価高や人手不足を受け、23年の要求では「6%程度」としていた表現を明確にして、より強く賃金改善を求めていく。
6日、加盟組合の代表者らと24年の要求方針の策定に向けた会議「政策フォーラム」を都内で始めた。今後、加盟労組と協議し24年1月の中央委員会で統一要求を正式決定する。ベースアップ(ベア)で4%、定期昇給(定昇)を含めて6%を基準に求める。物価高による実質賃金の目減りが続いており、一段の賃上げを訴える姿勢を明確にするため、24年春交渉に向けては「全組合員で物価上昇分以上のベアを基本とする」とした方針も新たに示した。
雇用形態別では、正社員で賃金水準が最も低い企業でベアが4%、定昇を含めて6%の賃上げを基準とする。パート時給も同水準の引き上げを求める。23年の全体の賃上げ率は正社員は3.64%、パートは5.08%で妥結した。
UAゼンセンの松浦昭彦会長は「23年は30年ぶりに高い賃上げ水準だったが、実質賃金は浮上していない状況にある。24年の賃金闘争は働く人の生活に大きく影響する意味で重要だ」と述べた。また「23年以上に賃上げしなければ企業で優秀な人材を獲得できない」との危機感も示した。
年収が106万円以上になると社会保険料の負担が生じて手取りが減る「年収の壁」対策では、企業に政府の補助制度の活用を促すほか、賃上げや労働時間の延長で手取り収入の減収を補うといった対応を労使で協議する。
UAゼンセンは約2200組合が加盟し、約185万人の組合員がいる国内最大の産業別労働組合だ。パートなど短時間労働の組合員が6割を占める。
物価高への対応や人材確保などを目的に、24年春交渉が本格化する前に賃上げ方針を決める企業が出ている。ビックカメラは10月、24年4月に正社員を対象に7%超のベアを実施し、月額2〜3万円引き上げる方針を決めた。サントリーホールディングスの新浪剛史社長も、定昇を含めて7%程度の賃上げをする方針を表明している。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。
関連企業・業界