住友化学、最終赤字760億円 4〜9月で過去最大に
住友化学は27日、2023年4〜9月期の連結最終損益(国際会計基準)が760億円の最終赤字(前年同期は810億円の黒字)になったようだと発表した。中国経済の減速で化学製品などの販売が低迷し、従来予想(300億円の赤字)から赤字幅が拡大する。
新型コロナウイルス禍が直撃した20年4〜9月期以来3年ぶりの最終赤字で、赤字額は過去最大となった。
最終損益の赤字幅は単純比較すると、日本基準だった12年4〜9月期(131億円)を超えて最大となる。
売上収益(売上高に相当)は前年同期比22%減の1兆1870億円、コア営業損益は970億円の赤字(前年同期は1156億円の黒字)と、従来予想からそれぞれ1830億円、670億円引き下げた。
セグメント別の業績予想をみると、5事業のうち3事業でコア営業損益の赤字を見込む。石油化学の「エッセンシャルケミカルズ」事業は440億円の赤字と、従来予想から270億円悪化した。
樹脂などの石油化学製品は需要が多い中国経済の回復が鈍く、ほかの国でも販売価格が低迷。サウジアラビアの合弁企業ペトロ・ラービグなどで収益が悪化したもようだ。
健康・農業関連事業は240億円の黒字予想から一転、80億円の赤字に転落する。一部の国・地域では天候不順で農薬の販売が落ちこみ、南米では前年同期に販売好調だった反動減も出たとみられる。動物のエサに加える添加物のメチオニン事業では需給の悪化による販売価格の低下などを受けて、146億円の減損損失を計上する。
医薬品事業は660億円の赤字で、170億円引き下げた。子会社の住友ファーマで主力の統合失調症薬「ラツーダ」の特許切れが響いた。
ディスプレー向けフィルムなどの情報電子化学事業は180億円の黒字を見込み、従来予想から60億円引き上げた。電池部材や機能性樹脂などのエネルギー・機能材料も70億円の黒字を予想する。
24年3月期通期の業績予想は精査中とした。従来予想では売上収益は前期比微増の2兆9000億円、最終利益は43%増の100億円を見込む。