旧統一教会の解散請求、12日決定へ 司法判断へ最終局面
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡り、文化庁は11日、宗教法人審議会(文部科学相の諮問機関)を12日に開くと発表した。教団に対する解散命令請求について盛山正仁文科相が説明し、委員らの意見を聞く方針。
同庁は委員の了承を得た上で請求を正式決定し、13日にも請求の手続きを進める方向で調整している。11カ月に及んだ教団に対する調査は最終局面を迎える。
宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合、裁判所が解散を命令できると定める。安倍晋三元首相銃撃事件後、教団の霊感商法や高額献金の問題が改めて注目され、同庁は解散命令の要件に該当する疑いがあるとして2022年11月に調査を始めた。
宗教法人法に基づく質問権の行使は23年7月まで計7回にわたり、組織運営や財産などに関する資料の提供や質問への回答を求めた。並行して高額献金被害者らへの聞き取りを続けた文化庁は、解散命令の要件に該当すると判断。請求に当たって同法は宗教法人審議会への諮問を求めていないが、宗教関係者や専門家の委員らの意見を聞いて慎重に手続きを進める狙いがある。
審議会の意見を踏まえて解散命令が請求されると、東京地裁が非訟事件手続法に基づいて非公開で審理する。地裁の決定内容に不服があれば、高裁や最高裁で争われる。
仮に請求が認められ、教団から法人格が剝奪された場合、清算人が選定され、法人の財産を整理する。教団への税制上の優遇はなくなるものの、任意団体としての活動は続けられる。
教団の広報担当者は取材に「(09年のコンプライアンス宣言以降は)社会的、法的に問題がある行動をしないよう指導を徹底しており、解散命令を請求されるような活動は教団としておこなっていない」とコメントしている。教団側は解散命令が請求されれば争う姿勢を示すとみられる。
教団への調査を巡っては文化庁が9月、質問権の行使に対して教団が回答を拒否したとして、行政罰の過料を科すよう東京地裁に通知した。同庁によると、重複を除く500項目のうち100項目以上の回答がなかった。教団は10月6日、「質問権行使自体が違法」などと反論する陳述書を東京地裁に送付し、過料を巡っても全面的に対立する構図となっている。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、文部科学省は東京地裁に解散命令を請求しました。安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに高額献金などの問題が改めて注目され、文化庁は2022年11月から宗教法人法に基づく質問権を7回行使。170人を超える被害者らへの聞き取りも進め、解散命令請求の要件を満たすと結論づけました。教団側は全面的に争う方針を示しており、司法判断の確定には長期を要するとみられます。