沖縄県、辺野古の承認指示応じず 国が代執行提訴へ
沖縄県の玉城デニー知事は4日、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を巡り、防衛省による設計変更申請を同日までに承認するよう求めた斉藤鉄夫国土交通相の指示に応じない方針を明らかにした。県庁で記者団に「期限までの承認は困難だと回答した」と語った。
岸田文雄首相は4日夜、首相官邸で記者団に「国交相が今後適切に対応していく」と述べた。「世界で最も危険であると言われている普天間基地を一日も早く移転させる。これからも努力を続けていかなければならない」と強調した。
国交省は「知事が期限までに承認を行わなかったことは遺憾だ」(水政課)とコメントした。同省は地方自治法に基づき、県に代わり国が承認する「代執行」に向けた訴訟を5日にも福岡高裁那覇支部に提起する。
国が勝訴すれば、高裁は県に一定期間以内に承認するよう命じる判決を出す。それでも県が従わない場合は、国が代執行できる。
設計変更を巡っては9月4日の最高裁判決で県の敗訴が確定し、承認する法的義務が生じた。判決後も県は明確な態度を示さず、国が承認を勧告しても応じなかった。国は勧告を指示に切り替え、改めて承認を求めていた。
玉城氏は指示に応じない理由として「最高裁判決の精査」「県民や行政法学者らから寄せられた意見の分析」がさらに必要だと説明した。国に対し「県との対話に応じるよう粘り強く求めていきたい」と述べた。
承認の判断を巡っては、県庁内に「法治国家として最高裁判決は受け入れざるを得ない」として承認すべきとの声もあった。知事を支える県議らは2日、国の指示に応じないよう求める要請書を玉城氏に提出するなど反対姿勢を崩していない。
辺野古移設は2006年に日米で最終合意し、13年に当時の仲井真弘多知事が国による埋め立て申請を承認した。
その後で軟弱地盤の存在が明らかとなり、防衛省沖縄防衛局が20年に工事の設計変更を県に申請した。県が調査が不十分などとして承認しなかったのに対し、国は認めるよう是正指示を県に出した。県は国の対応が違法だとして提訴していた。
防衛省は軟弱地盤の改良を伴う埋め立て工事の開始から移設完了まで12年ほどかかるとみている。13年時点の計画では最短で22年度の移設完了を明記していたが、現時点で30年代半ば以降にずれ込む見込みだ。