大企業製造業の景況感、2期連続で改善 9月日銀短観
日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回の6月調査(プラス5)から4ポイント改善してプラス9だった。2期連続で改善した。自動車生産が回復し、非製造業も新型コロナウイルスの影響が和らいで幅広い業種で改善が続いた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。9月調査の回答期間は8月29日〜9月29日。回答率は99.4%だった。
大企業製造業の業況判断DIはプラス9と、QUICKが集計した民間予想の中心値(プラス6)を3ポイント上回った。供給制約の緩和で生産の回復が進む自動車が10ポイント改善しプラス15、石油・石炭製品は20ポイント改善しプラス14となった。紙・パルプや化学など幅広い業種で価格転嫁の進展も聞かれたという。
一方、海外経済の減速による需要の低迷が響いた業種もあった。はん用機械は7ポイント悪化しプラス11、生産用機械も6ポイント悪化のプラス14だった。半導体関連の需要が弱く、電気機械は4ポイント悪化した。
非製造業はコロナ禍からの経済再開やインバウンド(訪日外国人)の増加で景況感の改善が続く。大企業非製造業の業況判断DIは4ポイント改善しプラス27と市場予想(プラス24)を3ポイント上回った。6期連続で改善し、1991年11月調査以来の高水準となった。
先行きの見通しは大企業製造業は1ポイント改善しプラス10、大企業非製造業は6ポイント悪化しプラス21を見込む。製造業では自動車生産の回復が他の業種にも波及する期待がある一方、非製造業では足元の円安・原油高などを受けて原材料コスト高の懸念がくすぶる。
企業が原材料などのコストを販売価格に転嫁する動きは鈍化してきた。販売価格が「上昇」との回答から「下落」の割合を引いた販売価格判断DIは大企業製造業で2ポイント悪化しプラス32だった。仕入れ価格判断DIも大企業製造業で4ポイント悪化のプラス48と落ち着きを見せる。
企業の消費者物価見通しはなお高水準だ。全規模全産業の1年後の見通し平均は前年比2.5%上昇だった。3年後見通しは2.2%、5年後見通しは2.1%となった。いずれも6月調査からほぼ横ばいで、政府・日銀が目標としている2%の水準を上回る。
企業の事業計画の前提となる2023年度の想定為替レートは全規模全産業で1ドル=135円75銭と、6月調査の132円43銭から円安方向に傾く。足元の円相場は1ドル=149円台で推移する。
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