藤井聡太七冠、初の八冠独占に王手 将棋王座戦2勝目
27日朝から名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで指されていた第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負の第3局は、午後8時32分、81手で先手の挑戦者、藤井聡太七冠(21)が永瀬拓矢王座(31)を破った。藤井七冠は対戦成績を2勝1敗とし、史上初の八冠独占に王手をかけた。
終局後、藤井七冠は「本局は結果は幸いしたが、内容は押されていた。(次局は八冠制覇がかかるが)意識せずに集中して臨みたい」と話した。藤井七冠は6月に最年少で名人を獲得し、羽生善治九段(53)に続く七冠を達成。残すタイトルを王座のみとしている。八冠制覇がかかる第4局は10月11日、京都市のウェスティン都ホテル京都で指される。
この日の対局は、劣勢の藤井七冠が終盤で形勢をひっくり返した。「終盤は負けの形だと思っていた。▲5六角(71手目)と相手の金を取って、自玉が寄りづらい形になった」という。
序盤は後手の永瀬王座が「雁木(がんぎ)」と呼ばれる戦型を採用、9筋の位をとる工夫を見せた。藤井七冠は「(その構想は)考えたことがなくて、序盤は失敗した。その後もうまく指されたので、もっと工夫の余地があった」と反省する。
途中、後手の永瀬王座が9筋の端歩を突いて仕掛けたのが機敏で、優位に立った。終盤も寄せに出て、そのまま押し切れば会心譜となったが、5時間の持ち時間を使い切り、秒読みの中で指した受けの一手が落手。藤井七冠が放った攻防手で逆転した。永瀬王座は終局後、「次局まで時間はあるので、精いっぱい準備して臨みたい」と話した。
解説の北浜健介八段は「序盤から永瀬王座が主導権をにぎり徐々にリードを広げた。終盤も正確な寄せを見せていたが、簡単な勝ちではなかった。終盤、永瀬王座のわずかなミスを藤井七冠が見逃さず、流れを引き戻した」と語った。
〈指し手〉▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△9四歩▲6八玉△4二銀▲5八金右△4三銀▲3六歩△9五歩▲7八玉△3二金▲5六歩△6二銀▲3七銀△7四歩▲3五歩△7五歩▲3四歩△同 銀▲7五歩△7二飛▲6八金上△7五飛▲6九玉△7四飛▲3八飛△7三桂▲3六銀△4五歩▲5五歩△9六歩▲同 歩△9七歩▲同 香△8五桂▲6六角△9七桂不成▲同 桂△5六香▲5七桂△9六香▲8五桂△9七香成▲7五歩△6四飛▲4五銀△同 銀▲同 桂△4九銀▲3六飛△6六飛▲同 歩△5八銀成▲同 金△5七金▲5六飛△同 金▲3三桂成△同 桂▲2一飛△4一飛▲6五角△5四歩▲4一飛成△同 玉▲5六角△7七桂▲6八玉△6九飛▲5七玉△2九飛成▲4六香△4五歩▲2一銀△4二金▲3四歩まで81手で藤井七冠の勝ち
将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)、リコー杯女流王座戦(特別協力・日本経済新聞社)の対局結果などの最新ニュースと特集・解説をまとめました。