アームが米上場、初値56.10ドル 売り出し価格10%上回る
【ニューヨーク=竹内弘文】ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計アームは14日、米証券取引所ナスダックに新規上場した。初値は56.10ドルとなり、売り出し価格51ドルを10%上回った。アームが設計する半導体の需要増に対する期待の強さを映した。
米東部時間14日正午すぎ(日本時間15日午前1時すぎ)に初値を付けた。初値を基にする時価総額は約575億ドル(約8兆4500億円)となった。時価総額の規模で2023年最大の新規株式公開(IPO)となった。アーム株は初値を付けた後に上昇に弾みがつき、60ドルを突破する場面があった。
9月上旬に実施した機関投資家向けロードショーでは47〜51ドルの仮条件で投資家の需要を調査し、13日に売り出し価格を仮条件の上限51ドルで決定していた。上場にあたりSBGは約10%のアーム株を売り出したが、事前の申し込みは売り出し株数の10倍を超えた。
SBGの孫正義会長兼社長は14日、米CNBCのインタビューで「人工知能(AI)が人類よりも賢くなりつつある」と述べ、アームが「AI革命」による恩恵を大いに受けると指摘した。アームの開示資料によると、米国のアップルやエヌビディア、グーグルなどがアームに出資する方針だ。
アームはスマートフォン向けの半導体で圧倒的なシェアを持つ。近年は車載半導体やデータセンター向けなどほかの分野でもシェアを拡大している。アームのレネ・ハース最高経営責任者(CEO)はロードショーで、CPU(中央演算処理装置)の出荷数拡大にくわえて各CPUが搭載するコア数の増加といったトレンドを背景にした成長ストーリーを投資家に訴えていた。
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