藤井七冠、永瀬王座を破り1勝1敗に 将棋王座戦第2局
12日朝から神戸市のホテルオークラ神戸で指されていた第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負の第2局は午後10時2分、214手で後手の挑戦者、藤井聡太七冠(21)が永瀬拓矢王座(31)を破った。王座の攻めをしのいだ挑戦者が前人未到の八冠制覇に向けて1勝を返し、対戦成績は1勝1敗のタイとなった。
両者、5時間の持ち時間を使い切る長手数の死闘だった。第3局は9月27日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで指される。
終局後、藤井七冠は「全体を通して苦しい局面が多かった。改めて三番勝負になるので、気持ちを切り替えて臨みたい」と話した。永瀬王座は「こちらも全体的に苦労していた。(第3局も)精いっぱい頑張ります」と語った。
この日の将棋は両者得意の「角換わり」という戦型になった。後手の藤井七冠が序盤で玉を右に動かす「右玉」という戦法を採用。その後、藤井七冠が仕掛けたものの永瀬王座が穏やかに収め、長い序中盤となった。
局面はほぼ互角のまま終盤に突入した。終盤は藤井七冠が永瀬王座の猛攻をしのいで玉を上部に逃げ出して安全を確保。その後、永瀬王座も玉を逃げ出し互いの玉が相手の敵陣に入る「相入玉」模様となったが、藤井七冠が押し切った。
解説の村山慈明八段は「藤井七冠の右玉は初めてで驚いた。互いに随所での長考も見られ、序盤は神経戦が続いた。終盤まで均衡が保たれた大熱戦だったが、最後は藤井七冠が不敗の態勢を築いた」と振り返った。
永瀬王座は王座戦4連覇中で、今シリーズに「名誉王座」の永世称号がかかる。藤井七冠は史上初の全八冠制覇まで残すタイトルは王座のみ。互いに大記録のかかる五番勝負となっている。
〈指し手〉▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同 銀△2二銀▲1六歩△9四歩▲9六歩△1四歩▲3八銀△3三銀▲3六歩△6二銀▲3七桂△5二金▲4六歩△6四歩▲7八金△7四歩▲6八玉△7三桂▲4七銀△6三銀▲6六歩△8一飛▲5六銀△6二玉▲7九玉△5四歩▲5八金△7二玉▲4七銀△6二金▲2九飛△4四歩▲8八玉△4二金▲5六歩△6五歩▲同 歩△同 桂▲6六銀△6四歩▲6七歩△7三金▲7七桂△5二金▲6五桂△同 歩▲7七銀△6四金▲7九玉△6二金▲4八角△5五歩▲同 歩△同 金▲9五歩△5一飛▲5九飛△3五歩▲9四歩△3六歩▲5六歩△3七歩成▲同 角△5六金▲同 銀△同 飛▲5七歩△5一飛▲4五歩△9八歩▲同 香△9七歩▲同 香△5三角▲8九桂△3六歩▲2八角△4五歩▲9三歩成△4六桂▲6八金右△6一玉▲4三歩△5二玉▲3四歩△同 銀▲4二金△同 角▲同歩成△同 玉▲1七角△5二金▲8三と△5八歩▲3九飛△9六歩▲7三と△9七歩成▲6二と△4一飛▲5二と△同 銀▲9七桂△同香成▲6四角△3二玉▲6二角成△6一銀打▲4二歩△3一飛▲4一金△6二銀▲3一金△4三玉▲4一歩成△4四玉▲9七角△3七香▲6九飛△4七桂▲8八玉△9六歩▲4二角成△5三銀直▲9八歩△5九歩成▲9九飛△4二銀▲同 と△3八香成▲2六銀△2七金▲1七銀△3五玉▲4三と△1七金▲同 香△4三銀▲4二飛△5二銀打▲2二飛成△2六玉▲2四歩△1七玉▲2三歩成△2七歩▲4四歩△同 銀▲5二竜△2八歩成▲6二竜△5八桂成▲6五竜△6八成桂▲同 金△9一香▲8四銀△9七金▲同 歩△同歩成▲同 飛△7九角▲同 玉△9七香成▲8八金△9六歩▲7八玉△8六桂▲同 銀△同 歩▲7七玉△8七歩成▲6六玉△5五銀打▲同 竜△同 銀▲同 玉△8八成香▲6二角△1八玉▲5三角成△8六角▲7五歩△6八角成▲5四玉△7五歩▲同 銀△5七馬▲6六歩△1五歩▲2一金△1六歩▲1一金△1七歩成▲4五玉△5八飛▲5四銀△5二歩▲6三馬△5六馬▲4四玉△4二飛▲3三玉△2三馬まで214手で藤井七冠の勝ち
将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)、リコー杯女流王座戦(特別協力・日本経済新聞社)の対局結果などの最新ニュースと特集・解説をまとめました。