セブン&アイ、そごう・西武の売却発表 米ファンドに
セブン&アイ・ホールディングスは31日、百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドに9月1日付で売却すると発表した。そごう・西武に対する貸付金(7月末時点)1659億円のうち916億円を放棄する方針も決めた。債権放棄を通じて売却後の経営再建を後押しする。セブンは不採算事業を売却し、中核のコンビニエンスストア事業に経営資源を集中する。
31日に開いた臨時取締役会で決議した。2022年11月に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループと、そごう・西武の売却で基本合意した際は企業価値が約2500億円だったが、そごう・西武の今後の事業計画などを踏まえ300億円程度減らした。
売却でそごう・西武はフォートレスの完全子会社となる。そごう・西武子会社のロフトは引き続きセブン傘下にとどまる。セブンとフォートレスは現時点で、そごう・西武の全国10店は百貨店として事業を継続するとしている。
売却の決議を受け、セブン&アイは「成長ドライバーであるコンビニエンスストア事業に経営資源の集中的な配分を図る」と強調。食を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指す考えを改めて示した。またそごう・西武労組が懸念している売却後の雇用維持についても「今後とも適切な範囲で支援・協力していく」と述べた。
フォートレスも31日、セブンと同様の内容を発表した。西武池袋本店など複数店舗に改装やそれ以外の設備投資向けに200億円以上を投じると表明した。フォートレスは「そごう・西武の事業継続を実現することに尽力し、最大限の雇用維持に向けセブンとそごう・西武の経営陣を支援する」とコメントした。
フォートレスは家電量販大手のヨドバシホールディングスと連携し、百貨店の再建を進める。そごう・西武の労組はセブン&アイによる早期売却に反発し、31日に西武池袋本店(東京・豊島)を全館臨時休業させたが、ストライキ翌日の9月1日からはオーナーがフォートレス・ヨドバシ連合に移る。
そごう・西武の売却を巡ってはセブン&アイによる利害関係者への根回し不足のほか、売却後の売り場構成や雇用確保などについてそごう・西武労組などと調整が難航。売却の実行日をこれまでに2度延期するなど売却交渉が長期化していた。
セブン&アイ・ホールディングスは百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却しました。フォートレスは家電量販大手のヨドバシホールディングスと連携しており、ヨドバシが西武池袋本店などに出店を検討しています。売却の決議までに、売り場構成などでそごう・西武の労働組合などと調整が難航、大手百貨店で約60年ぶりのストライキに至りました。