BRICSに6カ国が新規参加へ サウジ、アルゼンチンなど
【ヨハネスブルク=木寺もも子】南アフリカで首脳会議を開催中のブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)は24日、サウジアラビアやイランなど6カ国が新たに参加すると発表した。2024年1月に正式なメンバーとなる。新興・途上国の声を代弁する場としての存在感を高める狙いがある。
議長国である南アのラマポーザ大統領が24日の共同記者会見で明らかにした。サウジ、イラン以外にアルゼンチン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦(UAE)を正式に招待する。BRICSの拡大は、10年に南アが加わって以来となる。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「新興国と途上国の連帯、協力に向けた新たな章を書き上げるためともに努力しよう」と呼びかけた。BRICSの拡大はもともと「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国をまとめて米国に対抗することを狙う中国が主導した経緯がある。
日米やオーストラリアとの協力枠組み「Quad(クアッド)」に加わるインドなど、対米、対欧州を巡る思惑には既存・新規いずれのメンバー間でも温度差があるが、先進国に対して国際社会で発言力を高めたい点で一致した。
インドのモディ首相は「加入を希望するほかの国についてもコンセンサスを築くよう努める」と述べ、メンバー国が今後、さらに拡大する可能性も示唆した。南アによると、BRICSへの加入を正式に申請している国は20カ国超あり、関心を示す国も合わせると40を超えるという。
UAEのムハンマド大統領はX(旧ツイッター)に「UAEがメンバーに加わったことを高く評価する。世界中の人々の繁栄のため、協力を続けていくことを楽しみにしている」と投稿した。エチオピアのアビー首相も「エチオピアにとって偉大な瞬間だ」と投稿して歓迎した。
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グローバルサウスとはインドやインドネシア、トルコ、南アフリカといった南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称で、主に北半球の先進国と対比して使われる。世界経済における格差など南北問題の「南」にあたる。実際に領土が南半球に位置しているかにかかわらず、新興国全般を意味する場合が多い。特に近年、民主主義と権威主義の分断のなか中立を貫くスタンスをとる特徴で注目されている。また冷戦期に東西双方の陣営と距離を置いた「第三世界」を表現するときにも使われる。