東芝、国内連合が8日からTOB 2兆円で非公開化
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)など国内連合による東芝へのTOB(株式公開買い付け)が8日から始まる。7日、両社がTOBの開始を発表した。成立すれば年内にも上場廃止となり、74年間の上場の歴史に幕を閉じる。
東芝は過去の危機を乗り切るため複数の海外ファンドを対象とする増資を実施。経営に介入する傾向のある物言う株主が株式の3割を保有し、経営判断が混乱してきた。
「これで安定した株主構成になる。東芝やステークホルダーにとってベストだ」。東芝の島田太郎社長兼最高経営責任者(CEO)は7日のオンライン会見で主張した。買収され、上場廃止になるにもかかわらず再成長へ向けた前向きな発言が目立った。株主にも「70年以上支えられた。御礼申し上げる」と話した。
TOBは9月20日までで成立条件は3分の2以上の応募だ。成立しても応募が9割未満の場合、11月下旬をメドに臨時株主総会を開く予定。TOBに絡む株式併合の議案を諮り、可決されれば年内にも上場廃止になる。
TOB価格は4620円で全株取得を目指す。計約2兆円の買収にはJIPのほか国内20社超が出資し、メガバンクなどが融資する。ロームが3000億円、オリックスが2000億円、日本特殊陶業が500億円の拠出を発表済み。オリックスは買収後に社外取締役を1人派遣する方針だ。
東芝は不正会計や米原発の巨額損失で経営危機に陥った。債務超過解消のための17年の増資で複数の物言う株主が大株主になった。TOB成立後は国内連合が唯一の株主となる。複雑な株主構成を整理し再成長を目指す。
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