日銀、物価見通し引き上げ 23年度2.5%上昇
日銀は28日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表した。消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを2023年度は2.5%に上方修正した。24年度は1.9%、25年度が1.6%で、数値上は政府・日銀が物価安定の目標とする2%付近が続く見込み。企業がコスト高を価格に転嫁する動きが続く。
前回4月の展望リポートでは、23年度を1.8%、24年度を2.0%、25年度を1.6%としていた。6月のコアCPIの上昇率は前年同月比3.3%と高止まりしており、輸入物価が下落するもとでも日銀は物価上昇が長引くとみる。
リポートは4月時点と比べると強気の表現が目立つ。1.8%から2.5%に大きく見通しを修正した23年度の物価上昇率については「輸入物価上昇を起点とする価格転嫁が想定を上回って進んでいることなどから、大幅に上振れている」と分析。さらに「23年度と24年度は上振れリスクの方が大きい」とした。
国内の物価は輸入物価の上昇に押し上げられてきた。今春以降、輸入物価は下落しており、日銀は輸入物価を起点とする価格転嫁の影響が薄れてプラス幅がいったん縮小したあと、企業の賃金や価格設定行動の変化によって再び上昇率が拡大するシナリオを描く。
物価上昇が持続するかは不透明だ。25年度の物価見通しは1.6%で4月時点から据え置いた。海外経済の下振れリスクや資源価格の動向などで不確実性が高いためだ。日銀は賃上げを伴う物価上昇を重視するが、展望リポートでは「物価や賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残り続ける場合、来年以降は賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価も下振れる可能性がある」と指摘した。
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