ビッグモーターに一斉立ち入り 国交相「厳正に対処」
中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)の保険金不正請求問題で、国土交通省は28日、道路運送車両法に基づき同社の全国34事業所を対象に一斉立ち入り検査を始めた。26日の同社へのヒアリングを踏まえ、一連の不正行為が同法に違反する疑いが強まったと判断した。検査の結果を踏まえ、違反が認められれば行政処分を検討する。
国交省が立ち入りしたのは修理部門の工場を設けている全国34店舗。一連の不正問題は国が本格的に調査に動き出す事態に発展した。斉藤鉄夫国土交通相は28日の閣議後の記者会見で「厳正に対処する」と述べた。立ち入り検査の対象となった34事業所を含む同社の135事業所について不正車検の有無も調査する方針を明らかにした。
ビッグモーターの特別調査委員会がまとめた報告書によると、同社の修理部門の社員らは修理の依頼を受けた車体になかった傷を作り出し、損害保険会社側に保険金を過大請求していた。このほか不要な板金作業や部品の交換作業もしていた。
道路運送車両法は「依頼されない点検・整備を不当に行い料金を請求しないこと」と定める。検査では従業員による行為が同法に抵触するかどうか、実態解明を進める。報告書では修理部門の30以上の工場で不正の疑いがある行為が確認されたとしていた。
斉藤国交相は21日の閣議後会見で「道路運送車両法に違反する疑いがある場合には立ち入り検査も含め、適切に対応していきたい」と説明。同省は26日のヒアリングで同社の経営陣に報告書の内容を尋ねていた。
検査などの結果、違反を認定すれば、同省は整備工場ごとに行政処分を検討する。同法に基づく行政処分や指導は大きく4つある。処分が①民間車検場の指定や工場の認証取り消し②一定期間の業務停止――の2つ、指導は①文書警告②口頭注意――の2つだ。
自動車運転免許の違反と同様に、悪質性に応じて点数が決まり処分される仕組み。指定や認証が取り消されれば2年間は再取得できない。
中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)が事故車の修理に伴う保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていたことが分かりました。外部弁護士がまとめた調査報告書によると、同社の従業員はゴルフボールを靴下に入れてふりまわすなど意図的に車両に傷をつけて損傷範囲を広げ、損害保険会社に過大な修理費を請求していました。兼重宏行社長らが辞任、国交省が聴取に乗りだすなど全貌解明がすすめられています。