台湾TSMC4〜6月、約4年ぶり減収減益 PC・スマホ不振
【台北=中村裕】半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は20日、2023年4〜6月期の純利益が前年同期比23.3%減の1817億台湾ドル(約8000億円)だったと発表した。売上高は10%減の4808億台湾ドル。四半期ベースでは19年1〜3月期以来、約4年ぶりの減収減益となった。
23年12月期の通期見通しでは、4月時点に前期比で「1〜5%の減収」としていた従来予想を約10%の減収に下方修正した。
4〜6月期は、新型コロナウイルス禍で生まれたパソコンやサーバー、タブレット端末、ゲーム機などのIT(情報技術)特需がなくなり、反動減の影響が直撃した。半導体を大量消費する中国の経済も振るわず、設備投資が落ち込み、スマートフォンなどの個人消費が低迷したことも響いた。
経営トップの魏哲家・最高経営責任者(CEO)は同日の記者会見で「世界経済が振るわず、個人需要が低迷した。(パソコンメーカーなど)顧客の在庫調整は依然続いている」との認識を示した。
通期の見通しは「中国の需要が予想以上に少ない」(魏氏)などとして下方修正した。23年の世界の半導体受託生産は、22年比で約15%の落ち込みを予想した。
TSMCの業績低迷は、米中貿易戦争が本格化し、その影響で世界的に半導体需要が冷え込んだ19年以来、約4年ぶりとなる。
23年の設備投資は22年比で最大1割強少ない320億〜360億米ドル(5兆円前後)の期初計画を据え置いた。
海外初の先端工場として米アリゾナ州で建設を進める新工場は、量産時期を24年末から25年に遅らせる計画も明らかにした。人手不足などを理由に挙げている。
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