デジタル庁に立ち入り検査 マイナ問題で個人情報保護委
マイナンバーカードに別人の銀行口座が誤って登録されていた問題を巡り、政府の個人情報保護委員会は19日、デジタル庁に立ち入り検査を始めた。数日間にわたり同庁の口座管理システムなどを詳しく調べる。検査の結果を踏まえ、必要に応じて行政指導も検討する。
中央省庁への立ち入り検査は今回で2件目。同委はマイナンバーの入力業務を許諾なく再委託したとして国税庁に立ち入り検査し、2019年に行政指導した。
同委は23年6月にデジタル庁から問題に関する報告書を受け取った。「報告書のみでは十分に状況を把握できない」とし、立ち入り検査が必要だと判断した。
河野太郎デジタル相は同日、「個人情報保護委員会の求めに応じて適切に対応する」とのコメントを発表した。
デジタル庁によると、給付金を受け取るための公金受取口座が操作ミスなどで他人の情報とひもづけられていたケースは940件に上る。同委はこれまで同庁に対して「リスク管理と対策ができていなかった」と指摘していた。
政府は6月、相次ぐトラブルに対応するため「マイナンバー情報総点検本部」を設置した。個人向けサイト「マイナポータル」で確認できる29項目の情報に関して誤登録がないかを洗い出す。
7月末までにおよそ3600の行政機関にひも付け作業の状況を聞き取り、誤りのおそれがある機関には今秋までに全データの調査や登録の修正を求める。
マイナンバーカードとは
自治体に申請すれば無料で交付されるカード。2016年に始まったマイナンバー制度にあわせて本人を認証するために導入した。マイナンバーは日本で住民票を持つ人全員に割り振られる12桁の番号で、社会保障や税の分野で関係機関同士がやりとりする際に個人を特定するために使う。政府は普及のためにマイナポイントの配布やマイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への一本化を進めている。