EU、日本産食品の輸入規制8月めど撤廃 正式発表
首脳協議で合意
【ブリュッセル=三木理恵子】欧州連合(EU)は13日、日本産食品に課している輸入規制を完全に撤廃すると正式に発表した。加盟する27カ国が福島県産の水産物などを対象に続けてきた規制が8月をめどになくなる。
EUはウクライナに侵攻したロシアとの関係が決定的に悪化した。人権問題などで中国との距離も開いている。インド太平洋で民主主義の価値観を共有する日本との関係を重視する姿勢を示した。
ベルギー訪問中の岸田文雄首相が13日、EUのミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長と会談して方針を確かめた。
首相は共同記者会見で「規制の撤廃は被災地の復興を大きく後押しする。高く評価して歓迎したい」と述べた。フォンデアライエン氏は「最新の科学的根拠をもとに撤廃を決めた」と語った。
EUは2011年3月に起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故を契機に日本産食品向けの規制を導入した。
現在は福島県産の魚や野生のきのこ類など計10県でそれぞれ規制品目を定め、そのほかの都道府県の産品にも規制地域外で生産したことを示す証明書が要る。
農林水産省によると11年に246億円だった欧州への農林水産物や食品の輸出額は事故を受けて12年に222億円まで落ち込んだ。22年には680億円に増えたものの一部で規制が残っていた。輸出の拡大へ一定の効果が見込める。
EUが完全撤廃することで規制を残す国・地域はロシアや中国、韓国、台湾、香港などになる。数は12から7前後に減る見通しだ。