防衛増税の24年実施は見送り 自民税調会長、25年以降に
自民党の宮沢洋一税制調査会長は13日、防衛財源確保に向けた増税時期について2024年の開始は困難との認識を示した。党本部で開いた党税調の「インナー」と呼ぶ幹部の非公式会合の後、記者団の質問に答えた。「24年実施というのはスケジュール的にはだいぶきつい状況だ」と話した。
防衛費増額に向けた増税は法人、所得、たばこの3税で27年度に1兆円強を確保する内容だ。23年度与党税制改正大綱には防衛増税の時期について「24年以降の適切な時期」と明記していた。
宮沢氏は24年からの増税に関して「法人税は無理だということは確認された」と述べた。法人税の増税は3月期決算の企業が多いため、4月開始が一般的との認識を示し「年末に決めて3月に法律を通して4月から実施するのはあまりにも準備期間が短い」と語った。
所得税の改正は1月に始めることが多い。所得税の増税も24年開始は厳しい情勢だ。
自民党はこれまで防衛関係費の財源検討に関する特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)で、増税の先送りや増税幅の圧縮を探ってきた。
政府は委員会の提言を踏まえ、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は「25年以降のしかるべき時期とすることも可能となるよう柔軟に判断する」と先送りを示唆した文言を明記した。
7月上旬に発表した政府の22年度決算で税収が想定を上回ったことも自民党内で増税先送り論が強まった背景にある。予算措置をしたものの使わなかった決算剰余金は2.6兆円。その半分を防衛財源にまわす方針で、年平均の想定より6000億円ほど上振れした。