処理水の海洋放出「国際安全基準に合致」 IAEA報告書
【ウィーン=田中孝幸】国際原子力機関(IAEA)は4日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水を海洋に放出する日本の計画について「IAEAの安全基準に合致している」とする安全審査の結果を公表した。来日中のグロッシ事務局長は同日に首相官邸で岸田文雄首相と会い、審査結果をまとめた包括的な報告書を提出した。
IAEAがホームページで報告書を公表した。グロッシ氏は報告書の序文で「日本の処理水の放出のアプローチと活動が関連する国際安全基準と合致していると結論づけた」と表明した。
「IAEAは処理水の制御された段階的な海洋放出が人々と環境に及ぼす放射線の影響は無視できるほどごくわずかだと指摘している」とも述べたうえで、日本の要請に基づき放水前後の一連のプロセスにIAEAとして関与する方針を示した。
日本政府は安全性の確認のためIAEAに第三者の専門家の立場での検証を依頼していた。グロッシ氏は4日から7日までの日程で来日しており、福島第1原発の視察も予定している。その後、韓国にも向かい、今回の報告書について同国政府に説明する。
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(更新)
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出が始まりました。放射性物質トリチウムの処理水1リットルあたり濃度が国の安全基準の40分の1(1500ベクレル)未満であることを確認して放出。政府と東電は風評被害を防ぐため監視データを定期的に公表し、国内外に安全性を示します。周辺国では韓国政府が一定の理解を示す一方、中国は水産物輸入を全面停止するなど反発を強めています。
原発処理水とは(2023年8月23日掲載) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA223OR0S3A820C2000000/