北朝鮮、2発の弾道ミサイル発射 EEZ内に落下か
【ソウル=甲原潤之介】韓国軍合同参謀本部は15日、北朝鮮が午後7時半前後に短距離弾道ミサイル2発を首都平壌の順安(スナン)付近から日本海に向けて発射したと発表した。日本の防衛省によると、2発はいずれも石川県沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる。
防衛省の分析では1発目の飛行距離はおよそ850キロ、2発目は900キロ程度だった。最高高度はいずれも50キロほどのもよう。変則軌道で飛んだ可能性がある。韓国軍は「それぞれ780キロあまり飛行した」と公表した。
岸田文雄首相は同日夜、首相官邸で記者団に「今回の発射は国連安全保障理事会の決議に違反し、国際社会への挑発をエスカレートさせる暴挙だ」と述べた。現時点で被害の報告はないと説明した。
日本政府は官邸で国家安全保障会議(NSC)の会合を開き対応を協議。北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。
北朝鮮は5月末に軍事偵察衛星を搭載したロケットの発射に失敗した。NSC会合後に記者会見した松野博一官房長官は15日の発射について「いわゆる衛星と称するものとは違う」との認識を示した。
北朝鮮が弾道ミサイルを撃つのは、固体燃料を使う新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試射した4月13日以来、およそ2カ月ぶりとなる。
米韓が5月下旬から実施する大規模な合同火力訓練への対抗措置とみられる。北朝鮮国防省はミサイル発射の直前、訓練を非難し「これに対する我々の反応は避けられない」と対抗措置を示唆する談話を朝鮮中央通信を通じ発表していた。
日本の外務省は15日夜、日米韓3カ国の北朝鮮担当高官が電話で協議したと明らかにした。北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難し、抑止力・対処力の強化へ緊密に連携すると再確認した。
日本の船越健裕アジア大洋州局長、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省の金健(キム・ゴン)朝鮮半島平和交渉本部長が参加した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。