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トランプ前大統領「起訴された」 機密文書持ち出し疑い

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【ワシントン=中村亮】米連邦大陪審は8日、政府の機密文書を不適切に持ち出した疑いでトランプ前大統領を起訴した。米主要メディアが相次いで報じた。女性問題に続く2件目の起訴となる。2024年の大統領選への出馬を目指す前大統領にとって痛手となる可能性がある。

前大統領は8日の声明で「私の弁護士が腐敗したバイデン政権から、私が起訴されたとの通知を受けた」と明らかにした。米東部時間13日午後3時(日本時間14日午前4時)に南部フロリダ州マイアミの連邦裁判所に出頭を求められたと説明した。「米国にとって暗黒の日だ」と指摘し、検察と真っ向から争う姿勢を示唆した。

CNNテレビや米紙ニューヨーク・タイムズによると、前大統領は機密文書問題に関連して7つの罪状で起訴された。

米連邦捜査局(FBI)は2022年8月、フロリダ州パームビーチにある前大統領の邸宅マールアラーゴを捜索した。前大統領が21年1月の大統領退任後も機密文書を不適切に所持・管理した疑いがあったためだ。

FBIは1万1000枚以上の文書や写真を押収し、そのなかに「最高機密」に分類された文書が18、「機密」と記されたものが54、「部外秘」31が含まれていたとされる。

ガーランド司法長官は22年11月、ジャック・スミス氏を特別検察官に任命し、捜査を委ねた。米メディアによると、スミス氏は首都ワシントンとフロリダ州マイアミの大陪審で捜査を進めた。検察は6月上旬ごろ、前大統領が捜査対象であると前大統領の弁護士へ通知し、起訴の判断が近づいているとの見方が出ていた。

前大統領はスパイ活動法に違反した疑いが指摘されている。スパイ活動法では国防関連の情報を無許可で所持したり、漏洩したりして米国の安全保障に打撃を与えると罪に問われる。

前大統領はFBIの押収物について大統領退任時に機密を解除したと主張したが、スパイ活動法が禁じる国防情報の不適切な取り扱いは情報が機密扱いかどうかを問わない。米メディアによると、複数のトランプ政権高官は前大統領が機密解除に必要な手続きをとっていたかは把握していないと証言した。

同氏には捜査を妨げようとした疑惑もかかる。前大統領の弁護士はFBIによる22年8月の捜索前、同邸宅を訪れた捜査官が保管室にあった箱の中身を調べるのを拒んだ。弁護士は6月、機密文書が邸宅に残っていないと記した書簡を司法省へ送っていたと報じられている。

2つの疑惑は前大統領が不正を認識していたり、側近に隠蔽を指示したりしていたかなどの立証が焦点になる公算が大きい。前大統領は違法行為を全面的に否定する可能性が高い。

機密文書問題とは別に米東部ニューヨーク州の大陪審は今春、前大統領が不倫関係にあったとされるポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に支払った口止め料などの問題をめぐり、前大統領を起訴した。大統領経験者の起訴は史上初めてだった。

24年大統領選に向けた共和党の候補者指名争いをめぐり、前大統領は世論調査で優位に立つが新たな起訴がマイナスに働く可能性は排除できない。ペンス前副大統領やフロリダ州のロン・デサンティス知事ら有力者が相次いで出馬を表明し、指名争いが本格化する。

機密文書の持ち出しに関しては、民主党のバイデン大統領も捜査を受けている。私邸などで機密文書が相次いで見つかり、捜査に全面協力すると説明してきた。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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