将棋・藤井聡太六冠が名人戦制す 最年少で七冠に
将棋の第81期名人戦七番勝負の第5局が5月31日、6月1日の両日、長野県高山村で指され、後手の挑戦者、藤井聡太六冠（20）が渡辺明名人（39）を破り、4勝1敗でタイトルを奪取した。竜王・王位・叡王・棋王・王将・棋聖に名人を加え、七冠を達成。七冠は1996年に当時25歳4カ月だった羽生善治九段（52）に続く2人目で、20歳10カ月での達成は最年少記録となる。
谷川浩司十七世名人（61）が持つ21歳2カ月の最年少名人記録も約40年ぶりに更新した。藤井新名人は対局を終えた直後、「まだ実感はないが、非常にうれしく思う。とても重みのあるタイトルだと思うので、今後それにふさわしい将棋を指さなければという思い」と話した。
将棋界には現在8つのタイトルがあり、残るタイトルは永瀬拓矢王座（30）が持つ。藤井七冠は王座戦挑戦者決定トーナメントで初戦を突破し、ベスト8に進出している。今後、王座戦でも勝ち進み、秋の五番勝負を制して史上初の全八冠制覇をなし遂げるかに注目が集まる。
藤井七冠は愛知県瀬戸市の出身で、2016年に史上最年少となる14歳2カ月でプロ入り。17年にはデビューから無敗で最多の29連勝を達成、20年には最年少で初タイトルの棋聖を獲得するなど、将棋界の記録を次々に塗り替えている。タイトル戦の番勝負で敗れたことがなく、今回の名人でタイトル獲得は通算15期となった。
藤井七冠、全八冠制覇へ「目指せること自体光栄」
全八冠制覇まで残すタイトルはあと1つ。終局後の記者会見で藤井七冠は「現時点では（八冠は）まだまだだと思っているが、目指せること自体光栄だと思う。（このチャンスを）生かして、そこに近づけるように頑張りたい」と語った。
羽生善治九段（52）が七冠を達成したときは七大タイトル制で全冠制覇だったことにも触れ、「特別な記録で（羽生九段に）並べたという意識はない」とも。残すタイトルは、挑戦者決定トーナメントでベスト8に進んでいる王座戦のみだ。それでも「挑戦を意識する段階ではない。少しでも上を目指せるよう頑張りたい」と淡々とした様子だった。
棋王戦五番勝負に続き、渡辺明前名人（39）と戦った今回の名人戦七番勝負。5局とも力戦になりやすい展開で「指していて楽しい将棋が多かった」という充実のシリーズだった。
名人戦はタイトル戦の中では持ち時間が最長で、その点についても強く意識していた。「定跡形ではなく早い段階から構想力が問われる展開で、序盤から一手一手構想を練られるというのは新鮮だった」「その結果、うまくいったところとそうでないところが分かってきた」と振り返る。
これでタイトル獲得を通算15期としタイトル戦の不敗神話が続くが、心配なのは過密日程。中3日で6月5日にはベトナムで棋聖戦五番勝負の第1局が指される。「（挑戦者の）佐々木大地七段は強い相手だと思っているので、準備をしていい内容にしたい」と今後、続いていく防衛戦に向けても抱負を述べた。
羽生善治九段の話 前人未到の大記録の達成は、将棋に興味を持つ子供たちに大きな夢と希望を与えます。これからも将棋の魅力を伝えるフロントランナーとして更なる飛躍を遂げ活躍されることを期待しています。
日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の話 防衛を積み重ねながら、挑戦し数を増やしておられる現状は想像を絶します。タイトル全冠制覇も視野に入ってこられたかと思いますが、ますます体調にご留意され、更なるご活躍を期待いたします。
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将棋の藤井聡太八冠の対局結果・記録など最新ニュースと、特集・解説をまとめました。王座・竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖の八大タイトルを独占するのは前人未到の快挙です。
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